ーーーーー side 大樹
床全体に広がる靴音、その中で流れる音楽
大きく響き渡る音楽の中で振り付けを確認していた
それも、世界さんが付けたダンス振り付けの確認
世界さんの一言で皆それぞれ荷物がある場所へいき、休憩を取り始めた
水を取りながらスマホを弄るメンバーがいれば、じゃれるように騒いでいるメンバーもいる
世界さんは自分が付けたダンスの振り付けの確認をしていた
俺も、と皆を見てから水を取り出して口にしたあと、不意に周りを見てから気付く
窓の外を眺めている、黎弥の姿があった
それが何故か気になってタオルで汗を拭いながら歩み寄った
声をかけると振り向いた黎弥
でも、その時に見えた深刻そうな表情
それがやはり気になった
表情のことはあえて言わないでそう言うと
黎弥は納得したと思ったら、また窓の外を見た
ふと話しかけられて俺はそう聞くと
突然、感情を此方に見せないように隠すような素振りをしたまま、そう聞いてきた
どういう意味?
そう口にしようとしたけれど
世界さんの一言で、続きを繋げる筈の言葉は途切れた
メンバーが集まっていくのを見ながら黎弥もそう言って歩いていく
その黎弥の後ろ姿を見ながら自分も、と歩き出した途端
ヒラリ、と、何かが視界を横切った
横切ったそれに気付いてそれを探そうと視線を向けると、其処には純白の羽根が一つ落ちていた
どこから?
鳥の羽根よりも大きいその羽根を一つ拾う
それを気にしながらも自分の鞄にそれをしまい、皆がいる場所へ向かった
思えばこれが、全ての始まりだったのかもしれない
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。