ーーーーー side Taiki
家に帰ってからも気になるのは手に持っている真っ白な羽根
何処から入ってきたのかわからないし、そもそも、鳥の羽根より大きい羽根に違和感がある
でも、純白に染まったその羽根は汚れを知らないような色で綺麗だ
ポツリと呟いてから思い出したのは、あの場所で聞かれた黎弥の言葉
嘘偽りなく、まるで何かを確かめていたような言い方だった
不意に思い出したあの日の出来事
勇征と颯太が入る前の夢者修行の時に起きた事故
あのときは澤夏が倒れてきた機材の下敷きになって大怪我を負い、なっちゃんと慧人を落ち着かせようと離れていた
かなりの大怪我を負っていた澤夏だったから、かなり時間がかかると思っていた
だけど、落ち着いた翌日に目にしたのは完全に回復した澤夏の姿だった
それには俺も世界さんも目を丸くした
だけど、その時に微かに見えたものがあった
橙色の星形のネックレス
今まで無かった筈の物が其処にあった
聞いてみないとわからないけど
そう思いながら次第に眠気が襲ってきて、俺は純白の羽根を手にしたまま深い眠りに落ちていった
手元にある羽根が、違う形に変わっていくのを気付かないまま
それに気付いたのは、朝方になってからだった
気付けば寝ていたと思った俺が目にしたのは、昨日まであった筈の羽根が形を変えたまま俺の手にあった
赤色に染まった星形のネックレス
それがなんだかとても綺麗だと思った
やっぱり、羽根と関係してるんだ
そう思った俺は黎弥に聞いてみようと思い、そのネックレスを首元に付けて立ち上がった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。