第10話

第8章
418
2020/11/26 07:45
ーーーーー side Natsuki.H


暫くして落ち着いてから俺は顔を上げて黎弥君から離れた



黎弥
黎弥
落ち着いた?
堀夏
堀夏
はい、すみません。



俺がそう言うと黎弥君がフワリと笑う

あ、いつもの黎弥君の笑顔だ、と思っていたら



大樹
大樹
あのさ、黎弥。



不意に大樹君がそう言ってきたのが聞こえて俺と黎弥君、澤夏君は後ろを向いた

すると、大樹君の手に赤色に染まった星形のネックレスがあった



黎弥
黎弥
それ・・・
大樹
大樹
あの時、黎弥、俺に聞いてきただろ?
『天使だと言ったら信じますか?』って。その時に羽根を拾って、朝になって起きたらこのネックレスになってたんだ。
黎弥
黎弥
・・・・・
大樹
大樹
あの時の答え、今言うよ。
黎弥から聞いた今の話を含めて。



大樹君がそう言うと、黎弥君が身体を強張らせて顔を俯かせたのが見えた
怖い、という感情が伝わってきたのと



大樹
大樹
俺は信じるよ。



ハッキリと伝えた大樹君の言葉を聞いたのが同時に重なった



黎弥
黎弥
・・・え・・・?
大樹
大樹
最初は聞かれてから悩んでいたけど、これを見て分かったんだ。
黎弥は俺の知ってる黎弥だって。
どんな姿でも黎弥は俺達を守ってくれているんだって。
だから、俺は信じる。
大事なメンバーであって仲間だから。
黎弥
黎弥
・・・大樹君・・・



大樹君の言葉に黎弥君は顔を俯かせたと思ったら、鼻を啜る音で泣いているのがわかった

その姿を見ると、大樹君が俺の隣に来るなり力強く黎弥君に抱き付いた



大樹
大樹
泣くなよ黎弥ー。
黎弥
黎弥
だって・・・っ・・・



泣き続けている黎弥君を大樹君は星形のネックレスを左手で優しく握ったまま右手で黎弥君の背中を撫でた
それを黙って見ていたら空気が触れたように感じて振り向くと世界さんが大樹君の横に立っていて、黎弥君の髪を撫で始めた

それに驚いたのか黎弥君が顔をゆっくりと顔を上げたのが見えた



世界
世界
俺も信じていいかな。
黎弥
黎弥
世界、さん・・・
世界
世界
黎弥は俺達にとって大事な仲間だから。



そう言ってニッと笑う世界さん

この人の笑顔はいつも、何回も見る度に救われる気持ちになるんだ
それは黎弥君も同じで、その笑顔に安心するように抱き付いたままの大樹君の服をギュッと握った

それに続くように、俺も!と勇征が叫びながら黎弥君に抱き付いて、慧人と颯太も黎弥君に抱き付く
大樹君が潰れるとか言いながらも満更でもない笑顔でそのままにしてて、世界さんが笑う


その光景を見てから、ふと澤夏君の方を見ると、こっちを見ていたのか目があって、そこから安心したように笑った

思っていることは、皆同じとはこの事を言うんだね

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