第11話

第9章
417
2020/11/26 11:52
ーーーーー side Leiya


夏喜を助けたい一心で羽根を無意識に出して救ったあの日
俺は全て話して、それでも反応が怖かったけど

大樹君の口から聞こえた『信じる』って言葉

それが嬉しくて、皆も信じてくれるって身体で表現してくれて、話してよかったって思えて涙が止まらなかった


今では颯太と勇征がたまに出している羽根を触っていてくすぐったい



黎弥
黎弥
2人ともくすぐったい
勇征
勇征
だってフワフワなんですもん。
颯太
颯太
ずっと触ってたいです。
黎弥
黎弥
毎日は出せないんだからな、これは。
颯太
颯太
え、何でですか?
黎弥
黎弥
地球が出しているマイナスを吸収して治癒するためだけに出しているから、ずっと出せないんだよ。それに、HIROさんや先輩、後輩には俺が天使だってこと教えていないから。
澤夏
澤夏
俺と翔太だけだったもんね、あの時に知ってたのは。
黎弥
黎弥
うん。



そう、あの時に俺が天使だと教えたのは夏輝君と翔太だけ
皆は勿論、HIROさんや先輩、後輩には全く伝えていなかったから、この前のが初めて皆に伝えた日だった



慧人
慧人
・・・結構、辛いですか?
黎弥
黎弥
ん?
慧人
慧人
黎弥君、言ってましたよね。
地球が産み出しているマイナスを吸収して治癒しているって。
それをやってるとき、黎弥君、身体とか辛くないのかなって思って・・・。
黎弥
黎弥
・・・大丈夫だよ。でも、負担がかかると倒れちゃうときがあるけど・・・。
慧人
慧人
負担、ですか?
黎弥
黎弥
・・・うん。



そう答えてから思い出した、あの日の出来事

それと同時に夏輝君の胸元にある橙色の星形のネックレスを見る
それに気付いたのか、俺が考えていることを悟ったように夏輝君がそのネックレスを握りながら俺の目と合わせてきた



澤夏
澤夏
黎弥、気にしなくていいよ。
黎弥
黎弥
・・・・・
澤夏
澤夏
あれは黎弥の意思でもあったでしょ?
俺は感謝してるよ。助けてくれたから力になりたいと思ったんだから。
黎弥
黎弥
夏輝君・・・。



感謝

あの時も夏輝君は言っていた
恩を返したいから力になりたいって
気になっていてもそう言ってくれる夏輝君は優しい



慧人
慧人
・・・ねぇ、黎弥君。



俺と夏輝君の話を聞いてか暫くじっと見ていた慧人が声を上げる



黎弥
黎弥
あ、ごめん、何?
慧人
慧人
僕も羽根、触って良いですか?
黎弥
黎弥
良いよ。空気重くしちゃったからお詫びに・・・
慧人
慧人
お詫びじゃないです!



お詫びに、という言葉を出した瞬間、慧人がいきなり声を大きく上げた
その声に俺と夏輝君は勿論、メンバー皆が驚いて慧人を見ている



慧人
慧人
謝らないでください!
気を遣わないでください!
僕は、黎弥君を守りたいんです!
悲しませたくないんです!
笑顔にしたいんです!
だから、だから・・・!
泣きそうな顔をしないでください!



俺の背中から出ている右側の羽根を左手で触れながら泣きそうな顔で慧人がそう叫んでくる
お前が泣きそうになってどうするんだよって思っていたけど、慧人の口から出てきた沢山の言葉が嬉しくなって



黎弥
黎弥
・・・ありがと、慧人。



一言だけ伝えると、空いていた左側の羽根から一枚取ると、それを床に押し付けるように置いている慧人の右手の中に握らせる
急なことで顔を上げた慧人が右手を見つめると、その羽根は光を放つように羽根の形を緑色の星形のネックレスへと変えた



慧人
慧人
え、これ・・・
黎弥
黎弥
お礼。
慧人
慧人
え?
黎弥
黎弥
俺に喝を入れてくれたお礼。
もう謝るのはやめる。
時々、頼ったりしてもいいかな?



俺がそう言うと、慧人は嬉しそうに頭を勢いよく縦に動かした


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