第51話

第51章
355
2021/04/16 12:04
ーーーーー side Taiki


楽屋中に響き渡るように叫んだ、なっちゃんの叫び
その気持ちは俺も、隣にいる世界さんも同じ気持ちだった

武器を託されているのは颯太と勇征と慧人
武器を託されてないのは俺と世界さんと、なっちゃん
澤夏は、ウリエルさんに守られている
そう考えると俺と世界さん、なっちゃんは無気力だと見えてしまうのは言われなくてもわかってた

それでも、力になりたい気持ちは誰にも負けない
その思いだけは誰よりも強く持っている

黎弥を守るためならば、無気力に見えても構わない



大樹
大樹
・・・貴方にはわからないかもしれない
知りたくないかもしれないけど、怯みはしません。



そう思いながら俺は、ミカエルさんにそう言いながらなっちゃんの隣に立った
反対側には世界さんが立っていて、黎弥の盾になるように真っ直ぐミカエルさんを見ていた



世界
世界
貴方に黎弥は渡しません。
黎弥は俺達の大切な“家族”ですから。



家族

世界さんの口から出てきた言葉


実はこれ、翔太が世界さんに言ったことから始まった言葉

勇征と颯太が来てから翔太は嬉しそうにそう言ったのを今でも覚えてる





翔太
翔太
(回想)家族が増えて嬉しい。
世界
世界
(回想)家族、家族かぁ。
大樹
大樹
(回想)確かに、兄弟がたくさん出来た気分だもんな
堀夏
堀夏
(回想)長男は、やっぱり澤夏君?
翔太
翔太
(回想)うん、次男は黎弥で三男は俺。
澤夏
澤夏
(回想)となると四男はなっちゃんで五男は勇征だね。
慧人
慧人
(回想)僕と颯太は六男と七男ですね。
黎弥
黎弥
(回想)ん?じゃぁ、世界さんと大樹君は?
翔太
翔太
(回想)お父さんとお母さん!
せかたい
せかたい
(回想)おい!
翔太
翔太
(回想)えへへ。





翔太、俺は今でも黎弥達を守り続けていくよ

そう心で呟きながらミカエルさんを見る


悔しくなったのかミカエルさんの手が強く握りしめられている
そして、更に睨むように視線を向けてきたけど怖くない

家族を守るのに怯えも恐怖も要らなかったから



ミカエル
・・・っ・・・



予想外のことだったのかミカエルさんは苦虫を噛み潰したような表情で睨み付けてきた
やはり、難しいのだろうか、三大天使にたくさん言ってしまってるもんな、俺達



黎弥
黎弥
夏輝君?



そんなことを思っていたら聞こえた黎弥の声に振り向くと、同時に黎弥の隣にいる澤夏の姿に違和感を感じた
だらりとした腕をそのままに顔を俯かせたまま立ち尽くしている澤夏

澤夏の、はずなんだ、澤夏のはずなのに、何故だろうか
澤夏ではない、違和感が微かに感じた時だった



澤夏
澤夏
[・・・認めたらどうだい、ミカエル]



聞こえてきた澤夏の口から放たれた声は
俺達が聞きなれていた澤夏の声ではなかった

それと同時に違和感の正体を知ったのは



ミカエル
!?
まさか、お前・・・ウリエルか・・・?!



戸惑いながら言い放ったミカエルさんの声だった


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