ーーーーー side Taiki
楽屋中に響き渡るように叫んだ、なっちゃんの叫び
その気持ちは俺も、隣にいる世界さんも同じ気持ちだった
武器を託されているのは颯太と勇征と慧人
武器を託されてないのは俺と世界さんと、なっちゃん
澤夏は、ウリエルさんに守られている
そう考えると俺と世界さん、なっちゃんは無気力だと見えてしまうのは言われなくてもわかってた
それでも、力になりたい気持ちは誰にも負けない
その思いだけは誰よりも強く持っている
黎弥を守るためならば、無気力に見えても構わない
そう思いながら俺は、ミカエルさんにそう言いながらなっちゃんの隣に立った
反対側には世界さんが立っていて、黎弥の盾になるように真っ直ぐミカエルさんを見ていた
家族
世界さんの口から出てきた言葉
実はこれ、翔太が世界さんに言ったことから始まった言葉
勇征と颯太が来てから翔太は嬉しそうにそう言ったのを今でも覚えてる
翔太、俺は今でも黎弥達を守り続けていくよ
そう心で呟きながらミカエルさんを見る
悔しくなったのかミカエルさんの手が強く握りしめられている
そして、更に睨むように視線を向けてきたけど怖くない
家族を守るのに怯えも恐怖も要らなかったから
予想外のことだったのかミカエルさんは苦虫を噛み潰したような表情で睨み付けてきた
やはり、難しいのだろうか、三大天使にたくさん言ってしまってるもんな、俺達
そんなことを思っていたら聞こえた黎弥の声に振り向くと、同時に黎弥の隣にいる澤夏の姿に違和感を感じた
だらりとした腕をそのままに顔を俯かせたまま立ち尽くしている澤夏
澤夏の、はずなんだ、澤夏のはずなのに、何故だろうか
澤夏ではない、違和感が微かに感じた時だった
聞こえてきた澤夏の口から放たれた声は
俺達が聞きなれていた澤夏の声ではなかった
それと同時に違和感の正体を知ったのは
戸惑いながら言い放ったミカエルさんの声だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。