ーーーーー side Leiya
仕事を終えてからも龍友さんと話をしていて、その後に皆がGENERATIONSさんと話しているのを見ていたときに気付いた
何処に行ったんだろう、と思っていたら涼太さんと夏輝君が戻ってきたのが見えた
涼太さんは輪になっているのを見ると、その中へと入って話の中に入った
その姿を見てから隣にきた夏輝君を見ると、夏輝君は表情を少し固めたようにネックレスを握っていた
何を聞かれたの?
何を伝えられて、その表情なの?
そう思いながら呼ぶと、我に返ったように夏輝君が俺の方を見る
俺がそう聞くと、夏輝君はまたあの表情になったと思うと、何かを決めたように俺の方を向いた
そう言われて頷くと、夏輝君は場所を変えようと言って歩き出して俺も後を追った
ちょうど仕事が終わってたから後は帰るだけだったし、と思いながら夏輝君と向かったのは屋上
屋上に来ると、不意に夏輝君の手が震えているのがわかった
そして、振り向いた夏輝君から聞いたのは、悪魔の存在のこと
夏輝君曰く、涼太さんから聞いた話で悪魔も何処かにいるらしく
悪魔は災いを振り下ろす厄介なものを持っているという
俺のせいだ
俺が、天使としていたから
皆と一緒にいると決めたから
だから、皆が怪我をしてしまうんだ
皆だけじゃない
何時かは先輩方や後輩も狙われるかもしれない
俺が、此処にいるから
そう心の中で呟きながら思っていると、フワリと暖かい感触で
顔を上げると、夏輝君が俺の身体を優しく抱きしめていた
最初に出会った時からずっと優しい夏輝君
俺が天使だと言っても傍にいてくれた
だから、夏輝君からの言葉が嬉しかった
涙が出そうになった途端、頭に触れた感触が来て
振り向くと世界さんがいて、その後ろに大樹君達とGENERATIONSさんもいた
皆の言葉が暖かくて、とうとう涙が溢れて、声を押し殺しながら流した
悪魔に狙われて、皆が狙われていく
それを知ってから怖くなって
離れた方がいいと思っていたのに
皆は優しくて、守る気持ちが伝わってくる
それが、凄く嬉しくてしかたなかった
俺、もっと強くなるよ
悪魔なんかに負けない、絶対に
皆が守ってくれるように
俺も皆を守るから
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。