ーーーーー side Sota
三大天使の一人であるラファエルさんから聞いた事実
それが、余りにも残酷で、思わず黎弥君の腕に抱き付いていた自分の腕に力が入る
ポツリと呟いた声に黎弥君が此方を見たのが視線でわかった
それと同時に、思っていたことが滝のように溢れていく
叫ぶように溢れた言葉に慧人が顔を俯かせて黎弥の腕にくっついている
堀夏君と勇征君、澤さんも顔を歪ませていて、大樹と世界さんも表情を曇らせていた
翔太君のことがあって
何度も見てきた皆の泣いている姿
これ以上、見たくなくて必死に歌い続けた
笑顔にしたくて、ずっと笑っていてほしくて
何度も何度も乗り越えてきた
なのに、また悲しむ事が起きるのは、もう嫌だ
そう思っていたら涙が溢れて手を離して拭き続けていたら髪に触れた感触
顔を上げると、俺の髪を撫でている黎弥君と目が合った
だから泣き止め、と未だに僕の目から零れてる涙を黎弥君が拭き取る
そっと触れてきた感触が暖かくて、黎弥君の言葉も暖かくて、僕は黎弥君に抱き付いた
離れたくない
大好きなお兄ちゃんだから
そう思っていたら、不意に白い物が目に入り、顔を上げるとラファエルさんが目の前にいた
涙を拭きながらそう答えると、その人は僕の前に座ると僕の手に何かを握らせた
なんだろう、と思って手の中を見ると、小さなハープの形をした綺麗な水晶があった
ラファエルさんはそう言うと勇征君にも何かを渡す
それを渡されて勇征君が持ち上げるように見た手には弓矢の形をした水晶があった
黎弥君がそう言うと、ラファエルさんは優しく微笑み、淡い光に解けていくように消えた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!