第39話

第36章
358
2021/01/24 06:41
ーーーーー side Sota


三大天使の一人であるラファエルさんから聞いた事実
それが、余りにも残酷で、思わず黎弥君の腕に抱き付いていた自分の腕に力が入る



颯太
颯太
・・・嫌です・・・



ポツリと呟いた声に黎弥君が此方を見たのが視線でわかった

それと同時に、思っていたことが滝のように溢れていく



颯太
颯太
嫌です・・・嫌や、嫌や・・・!
黎弥君を連れてかんで!
僕達の、僕達の大切な人を・・・
大切な仲間を連れてかんで!
もう、失いたくないねん!
堀夏
堀夏
・・・颯太・・・
颯太
颯太
もう!もう見たないねん!
皆が泣いてるところ!
もう見たくないんよ!!
慧人
慧人
・・・っ・・・
颯太
颯太
これ以上、僕達の心を壊さんでや!



叫ぶように溢れた言葉に慧人が顔を俯かせて黎弥の腕にくっついている
堀夏君と勇征君、澤さんも顔を歪ませていて、大樹と世界さんも表情を曇らせていた

翔太君のことがあって
何度も見てきた皆の泣いている姿

これ以上、見たくなくて必死に歌い続けた
笑顔にしたくて、ずっと笑っていてほしくて
何度も何度も乗り越えてきた

なのに、また悲しむ事が起きるのは、もう嫌だ
そう思っていたら涙が溢れて手を離して拭き続けていたら髪に触れた感触
顔を上げると、俺の髪を撫でている黎弥君と目が合った



黎弥
黎弥
大丈夫だよ、颯太。
颯太
颯太
黎弥、君・・・
黎弥
黎弥
俺は絶対に消えないよ。
戻るつもりなんて全くないから。
FANTASTICSを、皆を守る。
そう決めて俺はここにいるんだから



だから泣き止め、と未だに僕の目から零れてる涙を黎弥君が拭き取る
そっと触れてきた感触が暖かくて、黎弥君の言葉も暖かくて、僕は黎弥君に抱き付いた

離れたくない
大好きなお兄ちゃんだから

そう思っていたら、不意に白い物が目に入り、顔を上げるとラファエルさんが目の前にいた



ラファエル
貴方、名前は?
颯太
颯太
え、と・・・颯太、です・・・



涙を拭きながらそう答えると、その人は僕の前に座ると僕の手に何かを握らせた
なんだろう、と思って手の中を見ると、小さなハープの形をした綺麗な水晶があった



颯太
颯太
これは・・・?
ラファエル
それは【水晶琴クリスタル・ハープ
盾となり天使を守るもの。
勿論、黎弥自身を癒す事もできるわ。
颯太
颯太
・・・盾・・・
ラファエル
黎弥、この子は歌唄いかしら?
黎弥
黎弥
あ、はい・・・あと、勇征もです。
ラファエル
勇征?は・・・どの子かしら?
勇征
勇征
あ、俺です。
ラファエル
では、貴方にも渡しておかないと。



ラファエルさんはそう言うと勇征君にも何かを渡す
それを渡されて勇征君が持ち上げるように見た手には弓矢の形をした水晶があった



ラファエル
それは【水晶弓矢クリスタル・アロー
天が敵とする闇、つまり悪魔や
堕天使から天使を守るための剣。
勇征
勇征
・・・剣・・・
ラファエル
人の子よ。私は貴方方を見守ります。
そして、黎弥を宜しくお願いしますね
黎弥
黎弥
・・・ラファエル様・・・
ラファエル
黎弥、優しい仲間に守られていて
とても安心したわ。私は一度戻ります
龍友と樹、竜太に宜しくね。
黎弥
黎弥
・・・!はい。



黎弥君がそう言うと、ラファエルさんは優しく微笑み、淡い光に解けていくように消えた

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