第14話

第12章
394
2020/11/28 09:26
ーーーーー side Taiki


機材トラブルでメンディーさんを庇って怪我をした世界さん
今でも世界さんは額に包帯を巻かれたまま眠っていて目を開く気配はない
スタッフから聞いたのかファンタの皆も来てくれたけど、今の俺は暗い顔になっている筈



剛典
剛典
じゃぁ、俺達は世界の状況を伝えてくるから。
大樹
大樹
はい・・・。メンディーさん、本当に気にしないでくださいね。
メンディー
メンディー
うん・・・。
亜嵐
亜嵐
後でまた来るね、大樹。
大樹
大樹
はい。



そう言ってガンさんとメンディーさん、亜嵐君が医務室を出ていき、皆も頭を下げる
俺達だけになったとわかると皆も世界さんの近くに歩み寄ってきた



勇征
勇征
世界さん・・・目開けるよね・・・?
堀夏
堀夏
絶対開けるよ、勇征。
颯太
颯太
今は信じましょう。
勇征
勇征
うん・・・。



勇征が俺の隣に座ると不安そうに世界さんを見ていて、後ろにいた颯太と堀夏、俺の反対に来た慧人も見ている
怪我をしたのが額だけだったのが良かったけど、早く目を開けてほしいと思っている自分がいる

不安に駆られる
焦るなと考えているのに抑えられなくて
もう一度落ち着かせるために目を閉じようとしたときだった



慧人
慧人
黎弥君?



不意に慧人の声で顔を上げると、俺達がいる場所の反対側に黎弥が立っていて、その隣に澤夏がいる

だけど、黎弥は羽根を出していた



大樹
大樹
黎弥・・・?



何故、羽根を出しているのだろうか
そう思っていると、黎弥は自分の羽根に手をかけて、そこから9枚の羽根の毛を取り出した

それを手に持つとそれを世界さんの胸元に置いて両手を翳しながら目を閉じた瞬間
黎弥の身体と羽根、世界さんの身体と胸元にある羽根の毛が光を放つ

それが淡くて綺麗で、じっと見ていると世界さんの胸元に置かれた羽根の毛が姿を変えて、現れたのは紫色の星形のネックレス

それと同時に、ベットの上にある世界さんの指先が小さく揺れた



勇征
勇征
今、世界さんの指・・・。
堀夏
堀夏
うん、動いた!
颯太
颯太
世界さん!
慧人
慧人
世界さん!



勇征と堀夏がそれに気付いて颯太と慧人が世界さんの名前を呼ぶ
その時には淡い光は既に消えていて、代わりに世界さんの目が開いたのが見えた



大樹
大樹
世界さん!
世界
世界
たい、き・・・?
大樹
大樹
良かった、世界さん・・・



顔を覗いた俺を見て名前を言った世界さん
その声に勇征達が嬉しそうに声を上げていて、俺も安心して胸を撫で下ろしたときだった



澤夏
澤夏
黎弥!



ドサリという音と澤夏の声が聞こえて顔を向けると、いつのまにか羽根をしまっていた黎弥が倒れていて、澤夏が黎弥を抱き起こしていた



大樹
大樹
え、黎弥?!
黎弥
黎弥
・・・っ・・・
澤夏
澤夏
馬鹿!力使いすぎだよ!!
黎弥
黎弥
ごめ、ん・・・。



荒い息を吐きながら澤夏に支えられて黎弥は近くにあった長椅子に寝かされた

俺は何起きたのか、まだ理解できていなかった


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