第3話

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2021/04/07 01:00




家族、か。







今の俺たちにとって家族はお互いだけ。









父さんがいるにはいるが、もう離婚しているし、自分の会社第一の人だからきっと移植なんてしてくれないだろう。












叔父さんはどうだろう。








そう思って、俺はおじさんのところへ向かった。
















ジェミン
叔父さん、







そう声をかけても、チラッとこっちを見ただけ。







ジェミン
お願いがあります
叔父さん
今更何の用だ。
お前の願いなんて死んでも聞いてやらん!
ジェミン
母さんが!
ジェミン
母さんが、死にそうなんです…





俺は必死にお願いした。








ジェミン
肝臓を移植しないと…
あと3、4ヶ月で死にます、
叔父さん
俺にどうしろと?
ジェミン
移植は家族じゃないとできない。
母さんに移植してもらえませんか?





俺は頭を下げて頼んだ。








叔父さん
俺の娘は2年前、病気で亡くなった。
俺もお前と同じように、あいつに頼みに行った。
叔父さん
金があれば助けられる、でも俺には金がなかった。
叔父さん
お前の母親は金だけはあったろ?
叔父さん
俺は頼みに行った。
叔父さん
金を貸してくれ、いつか必ず返すから、と。
叔父さん
お前の母親はなんて言ったと思う?
叔父さん
「あなたとは家族じゃない」
叔父さん
って言ったんだ。
ジェミン
…!
叔父さん
おかげで娘は死んだ。
叔父さん
そんなやつに肝臓を渡すと思うか?





叔父さんはごもっともだ。







でも、でも…







ジェミン
そこを、なんとか…
叔父さん
お前ら、金だけは持ってるんだろ
それでなんとかすればいい
叔父さん
お前の母親に伝えとけ。
「お前はもう家族じゃない」と
叔父さん
それだけだ。
わかったら帰れ





突然、わからなくなった。






俺は母さんに母さんらしいことはしてもらったことはない。






褒められたこともなければ、一緒に遊んだ記憶すらない。






俺はなんで、そんな人のために怒鳴られて、頭を下げて、頼み込んでるんだろう。















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