侑 side
侑「……銀…俺、もう……アカーーーーン!!!校内模試って…補習って……北さんに殺される!!」
休み時間となり、目の前の『GW合宿について』と書かれたプリントを前に頭を抱える
銀島「おい!侑!!まー待て、落ち着け!!
まずは、いくらなんでも「殺される」事はないやろ
それから…模試まではまだ時間がある。残された時間で何とかするしかない!」
侑「ア"ーーーー!?だから!"何とか"って、どないすんねん!?」
銀島「あ〜…えっと……よし!角名達にも相談しようや。したら、何か良い案思いつくかもしれんて……な?」
・
という訳で、部活終わりに男バレ2年でファミレスに集まった
メニュー表を開きながら、模試の話をする
角名「俺は関係ないよ。自慢できる成績ではないけど、補習になる程悪くもないからね」
「ドリンクバー行ってくる」と言いながら角名は席を立つ
侑「…なんや、角名は冷たいなぁ」
小作「それを言ったら、俺も同じや」
「俺もドリンクバー!」と言いながら小作も角名を追いかけて行ってしもた
銀島「問題は……宮兄弟やな…」
侑「………………」
治「………………」
銀島「2人さ、勉強教えてくれる人誰かおらんの?あ、ほら…申し訳ないけど、俺達は教えられる程じゃないから」
サムと顔を見合わせる……が、そんなヤツおるわけなi____________
治「____________俺、1人おるわ」
__________________な、なんやと!?!!?
治「せや、俺、勉強教えてくれるヤツおったわ。せやから先帰るわ!」
侑「あっ!ちょっ……待てや!おい!サム!!」
俺の制止は聞こえんかのようにサムは勢いよく立ち上がり、そのまま店を出て行ってしまった
角名「あれ、治は?」
ドリンクを片手に戻って来た角名が席に座りながら窓の外に視線を流し、店の外を走って行くサムの後ろ姿を目で追う
侑「……なんや、勉強教えてくれるヤツがおるとか言って、出て行ったわ」
サムが飯を放って出て行くって……どんなヤツやねん?
角名「……それって…」
侑「なんや?角名、何か知っとんのかいな?」
角名は「いや…」と言ったまま俯き、ドリンクをゴクリと飲む
銀と自分の分のドリンクを持って小作も戻って来た
侑「……なんなん?角名」
俺のイライラを感じ取ったかのように、ため息をつきながら角名が口を開いた
角名「…それ、多分……間宮さんだね」
侑、小作「「な、なんやとーーーーーー!!!?」」
銀島「ゴ、ゴフッ……な、なんや!?治、間宮さんと仲ええん?」
銀がむせ込みながら顔を上げる
角名「いや、多分だよ。多分!
まぁ、最初は治が一方的に話しかけてる感じだったけど、最近は間宮さんからも話しかけてるし、仲良いと言えば良いんじゃない?ま、席が近いしね」
「お待たせしました〜」と、それぞれが注文した料理が届く
角名は「何を話しているのかは知らないけどね」といいながら和風ハンバーグを口に運ぶ
小作が海鮮丼を頬張りながら「そういえば間宮さんって、テストでいつも学年10番以内じゃん」って言うとる
俺は……
なんや、えっらいイライラすんのやけど……
侑「なんや……。間宮、間宮って」
ボソッと呟く
俺かて間宮さんに勉強教えてもらいたいねん!!
あからさまに不機嫌な顔をしながらパスタを口に運んでいると角名が声をかけて来た
角名「侑も一緒に教えてもらえば?勉強」
侑「____________はっ?」
角名「皆で頼んでさ、勉強会してもらえばいいんじゃん?」
パスタを運ぶ手が止まる
侑「おぉ〜!角名!お前、ええ事言うなぁ〜!」
角名「いや"間宮さんが引き受けてくれれば"の話だk____________」
侑「いや、大丈夫や!俺が頼み込む!!」
小作「その「大丈夫」はどこから溢れる自信やねん」
銀島が「いや、その前に…相手が間宮さんと決まった訳じゃないやろ?」ってオロオロしとるけど…
サムが言っとる相手が間宮さんじゃのうても、俺は間宮さんに勉強教えてもらうで!!
呆れ顔の角名達を横目に、俺は急いでパスタとハンバーグ定食を胃袋に流し込み店を出た
・
・
家に帰るとサムが風呂から出てきたところやった
タオルを首にかけたままのサムに話しかける
侑「おい、サム!お前が勉強教えてもらおうとしとる相手は間宮さんやろ?」
サムは俺から目を逸らしながら「……いや、違うし」と返事をした
何年一緒におると思ってんねん。バレバレや…
侑「俺も、間宮さんに勉強教えてもらうで!」
俺がそう言った途端、サムは目を丸くした
まぁ、そりゃそうやんな
治「はぁ〜?!何言い出しとんねん?アホちゃうか?ツムと間宮さんはクラスも違うし、何も関係ないやろが」
途端に呆れ顔になって俺に物申してくる
侑「いや、話したことくらいあるわ!一度話せば、お友達や!!」
治「いや……意味がわからん」
侑「なんやと!!とにかく、明日学校行ったら間宮さんにお願いしに行くからな!」
治「お前は来んでええ。っちゅうか、来んなや」
侑「っとに、なんや!クソサム💢!」
思わずサムのスエットを掴んで睨みつける
侑「お前にイチイチ指図されとうないんじゃ!」
そのまま力任せにサムを後ろの壁に押さえつけた
治 side
はぁ?!何で俺が間宮さんに勉強教えてもらおうとした事がツムにバレてんねん
いや、そもそも…何でツムが間宮さんに勉強教えてもらうとか言い出してん?
治「…………どういうつもりや」
自分でも驚く程、腹の底から声が出た
俺のスエットを掴んでいるツムの手を掴み返し、ツムの目を見据える
侑「こんな言い合い、しょーもな…」
ツムの手から力が抜けて俺のスエットから離れる
治「…おい。せやから、どういうつもr____________」
侑「なんでイチイチそんな事サムに説明せなあかんのや?!!」
一度力が抜けたツムの手に再び力が入る。ツムが俺に向けた視線にドキリとした
あの目は……ツムが試合で見せる目や。バレーに真剣で貪欲になっとる時の目…
ツムは俺の手を振り払い「風呂行ってくる」と言い捨てて部屋へ上がって行った
なんや……俺もやけど、ツムかて女になんか興味ないやんか
なのに、何でツムのヤツ__________________、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。