翠「……ま、あれやな。あなたが学年10番以内やから目ぇ付けられたんやろ
せやけど、あの双子は定期テストで毎回赤点ギリギリって聞いたことあるで。角名に聞いたから、間違いないわ」
美香「……ご愁傷様」
菜乃花「……どんまい」
私の話を一通り聞いて、翠が治くんと角名くんを見ながら目を細める
美香と菜乃花は菩薩顔になって固まっている
あなた「いや……でも、こうやって大人数で勉強会やるのも、意外と楽しいかもよ!」
自分自身への言い聞かせも含めて、無言でお弁当を食べ始めた3人に前向き発言をしてみる
翠「……それもそうかもな」
菜乃花「…翠?」
翠「なぁ、うちも参加してええ?その勉強会!」
翠がモグモグしていた玉子焼きをゴクリと呑み込み、顔を上げてぱぁーっと笑顔になる
美香「どうしたん?翠…」
美香と菜乃花は不思議そうな顔をして翠を見つめる
翠「せやから、うちも参加するて!な、ええやろ?」
あなた「あ〜…うん。多分、大丈夫。あ、勉強会は朝やるからね。バレー部の朝練がない日の授業前」
翠「おん、おん、ええなぁ!皆で集まろな!」
何だろう…急に翠が目をキラキラさせて話に食い付いてきた
ま、もうこの際1人や2人増えてもどうという事はない!
「よし、翠も一緒に頑張ろうね!」そう言って残りのお弁当を頬張った
・
午後の授業が始まった
あなた「(____________!?)」
上着のポケットに入れていたスマホが振動する
そっと取り出して画面を確認する。LINEが届いている
あなた「(侑くん!?)」
LINE画面を開く
侑『今、俺ら数学やねん。あなた達、何の授業なん?』
これは何だろう?ブサ可愛いキャラクターが半目になっているスタンプが一緒に送られてきた
あなた「(多分、「俺、今めっちゃ眠たいねん」って言いたいんだろうな…)」
睡魔と闘う侑くんを想像してみる
「フフ……」1人で笑ってしまい、慌てて教科書で口元を隠す
あなた『私は英語の授業だよ。あと15分、頑張れ!』
スタンプと一緒にLINEを送信した
治 side
授業なんて、じっと座っとるだけで眠くなんねん。せやけど、間宮さんに「授業はちゃんと受けようね」って言われたから、なんとか睡魔と闘っとる
それに、ええ事気ぃ付いたわ。眠たくなったら、間宮さん見とったらええねん。背後から見とるだけやから、本人は何も気ぃ付かんしな
_____________?
何や?スマホ…?
間宮さんがスマホを取り出して、何か……多分LINEやろか?をし始めた
間宮さんが授業中にそんな事するの珍しいやん。相手は誰なん?
めっちゃ気になるわ……
・
__キーンコーン
カーンコーン……__
治「間宮さんにしては、珍しいやん。授業中にスマホいじっとるなんて」
授業が終わるなり前の席に話しかける
あなた「え?あ、治くんからは見えたよね。エへへ…(笑)」
間宮さんは照れ臭そうに笑う
治「…なぁ、LINE交換せぇへん?」
そう言いながらスマホを取り出し、間宮さんにQRコードを向ける
あなた「あ、…うん。いいよ」
彼女が授業中にスマホをいじる相手が単純に羨ましいと思った
治「あんな…間宮さんの事、あなたって呼んでもええ?」
ちょっと勇気を出して言うてみた
間宮さんは「えっ!?」って驚いた顔をした後「双子デジャヴ」とよく分からん事を呟く
そして「うん、いいよ」といつもの笑顔を見せてくる
自分のスマホに間宮さんのアドレスが登録された事を確認して、スマホをしまった
俺な、もっと間宮さんと仲良うなりたいねん
間宮さんの事、もっと知りたいねん……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。