第33話

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2021/03/06 12:00
__キーンコーン
    カーンコーン……__





あなた「あと1教科。頑張ろうね」


翠、美香、菜乃花「「「おん。そうやね!」」」





予鈴が鳴り、各々自分の席へと座る





背後にも椅子に座る気配を感じて振り返る





治「ん?」



振り向いた私に気付いて治くんが顔を上げる



あなた「さっき大分疲れてるみたいだったけど、大丈夫?あと1教科だけだから、頑張って」


治くんだけに聞こえるくらいの潜めたボリュームで声をかける



治「それ、「あと1教科だから頑張ろうね」ってさっきも言っとったやん。せやけど、ありがとうな」


ニコリと笑顔が返ってきた






うん、ご飯を食べて少しは元気になったみたい















治 side




ハァ〜……



定期テストは何日かに分けて試験するのに、何で模試は1日で済ますんや



朝からずっと問題解きっぱなしで頭疲れたわ……





昼に購買でツムに会うたけど、アイツは何やおかしなテンションになっとったな

 
ツムはツムなりに疲れとるんやろ





俺の事はあなたが気にかけてくれとるからな。しゃあない、少しは俺がツムに同情したるわ





よしっ!あと1教科や。キバルで!!















あなた side





「はーい。終了〜」





担任の少し間の抜けたような掛け声で、ようやく模試が終了した





「次の6限のHR、委員会について話し合うからな。学級委員よろしく〜」





あ〜…。委員会、先週のHRで中途半端にしか決まらなかったからな



 
 






「はい。では、まだ決まっていない委員を決めていきます。先週決まらなかった委員会は____________。」











翠「はぁ〜…。委員会なんて面倒くさいから、やりたくなかったんやけど……なってもうた」


机に突っ伏して翠が呟く



あなた「私も。でも、くじ引きだから仕方ないね」


美香「2人とも、ご愁傷様〜」


美香と菜乃花が私と翠の顔を交互に見ながら笑っている



菜乃花「えっと…、翠が文化祭実行委員で、あなたが体育祭実行委員?
でもさ、どっちも忙しいのは一時期だけだから……委員会の中ではラッキーなヤツに当たったんじゃない?」 


翠「ま、せやな……。さ、部活行ってくる」


カタン…、と椅子を鳴らして翠が立ち上がる





あ、そうだ。模試が終わったから今日の放課後から部活動再開するんだった




自分の後ろの席を見ると、すでに治くんの姿はなくなっていた















治 side





北「お疲れさん。お前ら模試どないやった?」


部室に入るなり先に来とった北さんに声をかけられた



治「合宿は大丈夫やと思います。今回は自信あります」


尾白「ほんまか?!「自信ある」なんて珍しいな。どないした?」


アランくんが目を見開いて俺の顔を覗き込んでくる



北「前に言っとった「模試対策」ってやつか?」


着替え終わった北さんがロッカーを閉めながらこちらを向く


治「まぁ、はい。勉強教えてくれるヤツが居って……」


尾白「お前らに勉強教えるなんて、なかなか根性あるなぁ!」


治「なっ…、アランくんでも言い過ぎや!」


尾白「ハハハ……すまんすまん。けど良かったやん。侑も世話になったんか?」


治「あ、はい。まぁ……」


尾白「ほんなら、双子は合宿大丈夫やな!」


北さんと一緒にアランくんは一足先に部室を出て行った





侑「部活や部活〜!」


能天気な声を出しながら、北さんらとほぼ入れ違いにツムと銀がやって来た



治「お前ら、模試どないやった?」



返事はまぁ、大体想像つくけどな……一応訊いてみる





侑「おん。流石あなたやな!合宿参加は間違いないわ!」


銀島「俺もや!自信あるで」



デカい口を開けて笑うツムの向こうで銀も親指を立ててポーズを取っている





ったく……何やねん、そのポーズは





侑「あれ?模試の結果っていつ発表されるんやったっけ?」


銀島「今週末や。今週の金曜。掲示板に順位が張り出されるんや」


角名「で、各学年下から20番に入ると補習になるって事」



掃除当番やった角名かいつの間にか現れて、銀島に継いで口を開く


銀島「侑は自信あるみたいだけど、治は?」


治「俺も自信あるわ」


銀島「なら、バレー部2年は大丈夫だね。間宮さんに感謝やな!」


侑「「なら」ってどう言う意味やねん!?あ"ぁ?!オイ、銀!!」


着替え終わったツムが銀の脇腹にチョップを入れる



治「ええから、早よ来いや。もたもたしとると、北さんに怒られんで」


 


騒いどるヤツらを置いて体育館へと急いだ























あなた side





あなた「ただいま〜」



母「もう、遅いじゃない!!今日で模試は終わったんでしょ?!週末は勉強って言って、レッスンお休みしたk____________。」
あなた「____________あぁ、もう!分かってるよ!!早速練習始めます」





ったく、こうなると思ってたから「ただいま」の声は出来るだけお母さんに聞こえないように小さく呟いたのに……





ハァ〜…





早くGWにならないかな……








GWには私1人で岡山の祖父母の家へ遊びに行く事になっている

元々は両親も一緒に行く予定だったが、両親はそれぞれ仕事の予定が入ってしまった。祖父母の家へ行く計画自体なくなりかけたのを、私が「だったら1人で行く!!」と言い張ったのだ








少し、お母さんから離れたくて……






ハァ〜…






最近、家にいると溜め息ばかりが出てくるな……

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