第7話

7
1,932
2021/01/11 12:00

侑 side





侑「なぁ、さっきの……角名が喋っとった女、……の髪が長い方。アレ誰なん?」


部室で着替えながら角名に聞いてみる





角名「……ん?あー、間宮さん?」


侑「いや……名前は、よう知らん。けど、そや。あの女」


角名「誰って……同じクラスの子。バレー観たいって言うから「練習試合で良ければ観に来れば」って声掛けただけ」


銀島「えっ!?角名のクラスの間宮さんって、あの間宮さん?!」


銀が着替える手を止めて、グイっと角名に顔を近づける



治「「あの」って何なん?」


銀島「____________!?治、同じクラスなのに知らんの?!」


治「……?だから、何なん?」


角名「____________若き天才ピアニスト」


ボソッと角名が呟いた





治、侑「「((………"天才ピアニスト"?))」」





銀島「あんな美人で、天才ピアニストってな……所謂、高嶺の花っちゅうやつやな!」


銀は今度はため息をつきながら天井を見上げる



治「……へぇ〜。知らんかったわ…」


角名「まぁ、治は…食べる事とバレー以外興味なさそうだもんね」


銀島「……やな」


治「なんやと!?」



侑「どーでもええけど……角名。今日、なんで呼んだん?喧し豚が増えても煩いだけやろ」


角名「いや、だから…バレー観たi____________」
治「………多分、違うで」


角名「………………。」



侑「「違う」って…何がや?」


治「他の奴等とは違うタイプや」


銀島「へ〜…。治が女子を庇うとか、珍しいやん…」


治「いや、別に庇ってるワケやない」


銀島「……ん?角名、どーいう意味?」


角名「……確かに。間宮さんは、他の女子みたいに治に対してキャーキャー騒いだりしないよね。
多分、今日も純粋にバレーを観に来ただけだと思うよ」


銀島「へぇ〜…。それこそ、珍しいやんな」





侑「まー何でもええけど……
サム!早よ着替えろや!!先に帰ってまうで」





サム達が喋っている間に、俺は着替え終わってしまった





侑「(ったく……着替えるだけなのに、遅いねん)」





部室を出てサムを待ってる間に、ふとさっきの女の顔と角名が口にしたフレーズが頭をよぎる





______天才ピアニスト





スマホを取り出して〈天才ピアニスト 間宮〉と打ち込んでみる





侑「(あ、これやな)」
 

スマホの画面に表示されたのは
『彗星の如く現る!若き天才ピアニスト______』
何や、仰々しい見出しやな……そんな事を思いながら画面をスクロールさせる

記事を読んでみると此奴は去年、何やら有名なコンテストで賞を獲ったらしい
音楽に全く興味がない俺には、そのコンテストがどれくらい凄いのか、ましてやその賞がどれ程のものなのかはよく分からなかった
でも、画面の中のその笑顔は……



正に"輝く"ような綺麗な笑顔やった____________








治「珍しく真剣な顔して、どないした?」
 

いつの間にかサムも角名も銀も着替え終わって部室から出て来ておった





侑「別に……何でもないわ。ほな、帰るで」


スマホをしまい歩き出す










治「今日の夕飯、何やろなー?」


侑「お前はまた、飯かいな?」


治「やって、腹減ったし」


侑「せやな……」
 

サムの言葉に返事をしながら、俺の頭の中にはさっきのスマホで見た画像の中の笑顔が鮮明に蘇っていた















侑「俺、風呂後でええわ」


治「ほな、先入るで」


夕飯を食べ終わり自分の部屋へ戻る。サムが風呂へ行ったのを確認してスマホを開く


動画サイトであの女______間宮さんのコンテストの動画を開く





〜〜♫〜♪〜〜♪〜♫





……なんやよう分からんかったけど、ピアノを弾く間宮さんの楽しそうな笑顔

鍵盤の上を滑るように動く綺麗な指先

そこから弾き出される綺麗な音色





俺は何回も同じ動画を再生した









治「……ム……い、…おい、ツム!」





侑「____________、!?っな、何やねん?!」


突然サムの声がして、慌ててスマホの画面を閉じる





治「何回も呼んだんや。気ぃ付かなんだのは、そっちや。何しとるん?……風呂空いたで」


侑「そ、そおか〜。なら風呂入って来るわ」



慌てて着替えを掴み風呂場へ向かった





まさか、今の見られてないよな…?



侑「(何や?俺。メッチャ恥ずかしいやんか!//)」















治 side





____________なんや?





風呂から上がってツムに声掛けよう思て部屋の扉を開けようとした瞬間、中から何か音楽が聴こえて来よった





治「(____________ピアノ?何でツムがこんなん聴いとるん?)」



違和感があるツムの行動に「おい、ツム!」と一度呼び掛けてから扉を開ける



ツムは俺に気付かずスマホの画面をずっと見とる





治「(……何やねん。気付いてないやん)……おい、ツム。…ツム!おい、ツム!」


侑「っな、なんやねん?!」

何度か呼んでようやく気ぃ付きおった。ツムは俺に隠す様に慌ててスマホの画面を閉じる





治「何回も呼んだんや。気ぃ付かなんだのは、そっちや。何しとるん?……風呂空いたで」


侑「そ、そおか〜。なら風呂入って来るわ」



なんや情けない声を出しながら、ツムは慌てて着替えを掴み風呂場へ行きおった








ピアノ……って、間宮さんか…?…なんでツムが間宮さんを気にしとるん?

プリ小説オーディオドラマ