へぇ……練習を見ていると、皆それぞれの性格が出ていて面白い
調子が良いとすぐにテンションが上がるのは侑くん。治くんは一見落ち着いているようにみえるけど、侑くんに引っ張られるようにテンションが上がっていく。やっぱり双子だ
倫くんは後半疲れてくるのか、チョコチョコ要領良く手を抜いているように見える。私が気付くくらいだから、周りもきっと気付いてるんじゃないのかな……
う〜ん。まぁ疲れてきて手を抜きたくなる気持ちは正直、私にも身に覚えあるけど……アハハ…
北さんは流石主将!どんな練習もきっちり最後までこなす
意外だったのは、準備も片付けも…トイレ掃除まで、北さんが一番最後まできちんとやっていた事
そういう、所謂"雑用"は、一年生がやるものだと思っていた私には衝撃だった
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結局私は猛が宮城に帰った後も、一人で毎日バレー部の練習を見に行った
練習の合間に皆が代わる代わる私にバレーを教えてくれるのも、日課になった
皆の手伝いも、大分慣れてきた……と思う
今日も手伝いをしながら、練習を見せてもらう
北「あなた、皆にドリn____________、」
あなた「はい、皆さんドリンクです!」
侑「あなた、タオr____________、」
あなた「はい、タオルどうぞ!」
角名「あなた、タオルフワフワだね」
治「……しかも、ええ匂いするわ」
倫くんと治くんの言葉に、タオルを渡された人は皆スンスンと匂いを嗅いでいる
あなた「洗濯する時に、私が気に入ってる柔軟剤を使ったの。匂いが嫌いな人がいたらごめんなさい」
侑「いや、ええ匂いやで!流石あなたやなぁ!癒されるわ」
銀島「(じょ、女子の匂いやなぁ……//)」
小作「(何や、匂いだけでドキドキするわ//)」
どうしたんだろう?銀島くんと小作くんは黙ったまま、顔を赤くしている
あなた「銀島くん、小作くん、どうかした?」
銀島「///っ、べ、別に。何でもないわ!」
……銀島くん、どうしたんだろう?ま「何でもない」って本人が言うから大丈夫かな
北「この後な、いくつかのチームに分かれてゲームやんねん。あなたに得点係頼めるか?」
銀島くんと小作くんの様子が気になって、二人を観察していると背後から北さんに声をかけられた
北さんは額の汗をタオルで拭いながら私に近付いてくる
あなた「あ、得点ボード準備しますね」
北「あ、準備は俺がやるから。あなたはええよ」
あなた「今は休憩中なんですから、北さんは休んでて下さい!私一人でも大丈夫です」
北さんに向かってピシッと掌を向けて、制す仕草をする
ここは私一人で!!と目で訴えて、得点ボードを取りに倉庫へ向かった
尾白 side
尾白「気も利くし、テキパキ動いてくれるし……合宿が終わってもマネージャー頼みたいくらいやなぁ」
あなたちゃんが倉庫へ向かって小走りで駆けて行く後ろ姿を見つめながら、信介に話しかける
いや……真面目な話、是非ともこの子にマネージャーやって欲しいわ。俺……
今までマネージャー志望は100%宮兄弟狙いやってん。でもあなたちゃんは明らかに違うしな
何より、バレーを楽しいと思ってくれてるのが嬉しいやんか!!
北「せやな。……でも、あかんな。あなたにはピアノがあるやろ。マネージャーは期間限定や」
尾白「せやな……」
何や……俺に偉そうに言うた割には、信介が残念そうな表情しとるやんけ
おん、おん。俺には分かるで
あなたちゃん、素直で可愛いくて……
____________"理想の妹"やもんなぁ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!