第14話

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2021/01/31 12:00
侑、治「「……この通りや!頼む!!」」



あなた「えっ……いきなり何?」



登校して教室に入るなり、宮兄弟がやってきた。その後ろには角名くんもいる



治「もうすぐ校内模試あるやろ。あれで成績悪かったら補習になってもうて、GWの合宿に参加出来なくなんねん」


侑「せやから、この通りや!勉強教えてほしいねん!!」


そう言うと、双子は同時に顔の前で手を合わせ"お願いポーズ"をとる





あなた「(フフフ……2人同時って。流石、双子!)」


治「で、……どうなん?」


あなた「えっ!?あ、うん。リアクションが同時って、流石ふt____________」


侑「「うん」って……ほな、勉強教えてくれるん?!おおきに!!これで殺されずに済むわ〜」


侑くんは、ガッツポーズをしながら天を仰いでいる



あなた「へっ?!殺される…?


一瞬"へっ?"と思ったが、……いやいや、そうじゃなくて!!



治くんも「ヨッシャ〜!」と言いながら、拳を突き上げている





あなた「あ、えっ?!ちょっと待って。「うん」って、そういう意味じゃなくt____________」



一旦会話を戻そうと思うが、双子は全く聞く耳を持たずにはしゃいでいる








侑「ほんま、おおきに!」


治「ありがとうな、間宮さん」


双子から揃って満面な笑顔を向けられてしまった





……もうこれはどうにも出来ない


 


あなた「あ、え〜っと……うん。(まぁ、模試までの間なら……)」





返事をしながら、この前の練習試合の様子が脳裏に蘇った





____________楽しそうにプレーする部員達の姿








あんな姿を見たら、合宿には何が何でも参加して欲しいと思う

その為に私に何か協力出来るのなら……





よしっ、こうなったらやるしかない!!





観念し、自分自身にも言い聞かせながら双子に笑い返す





あなた「よし、頑張ろうね!!それで、何の教科を教えてほしいの?」


治「俺は、数学と英語……あとは国語や。暗記の科目は多分、何とかなる…」



少し俯き加減になりながら遠慮がちに指を折り、治くんが3つ科目を挙げる





侑「俺は、全部や!全部!!全部教えてほしいねん!!」



治くんとは対照的に前のめりでアピールする侑くんの勢いに、体が一歩後ろへ退く





治「なっ、ツム!お前図々しいヤツやな!!少しは自分でも何とかせえ!」


侑「はぁ?!何でそんな事サムに言われなアカンのや!」





さっきの満面な笑顔はどこへいったのか。睨み合い、今にも掴み合いの喧嘩が始まりそうな2人







「お、宮兄弟やん。何してるん?」

「天才ピアニストも一緒やで」

「侑く〜ん。治く〜ん」

「お、あの双子、もしかしてまた喧嘩かいな?」



ただでさえ注目を浴びる2人なのに……

双子の剣幕に教室内がザワつき始めた。何事かと教室の入り口には"興味深々"といった視線をこちらへ向けながら、通りすがりの生徒が足を止めて集まり始めている





あなた「ちょ、ちょっと。2人とも落ち着いて!」



ズイッと双子の間に割って入る。「まぁまぁ…」と宥めると、2人は黙りお互いにプイッとそっぽを向いてしまった





ハァ〜……


双子って、仲が良いのか悪いのか……










角名「なら、俺らもヨロシク」


あなた「フェッ……??!」


後ろから肩を叩かれ、角名くんが自分自身を指差しながら首を伸ばす





俺ら ・ ・……?


角名「俺と、侑と同じクラスの銀島ってヤツと、あと7組の小作ってヤツ。ちなみに皆、バレー部」


あなた「えっ??どういうこt____________」
?「あ〜!もう間宮さん来とるやんか!!」





……誰?





角名くんへの質問を掻き消すように、2人の男子生徒が私の名前を呼んで、人混みを掻き分けて近付いてくる



角名「あ、あいつが銀島。で、その後ろにいるのが小作」



あ〜…言われてみれば、この前の練習試合でいた……かな









っていうか……





え__________________っ、!?!??



5人なんて……





聞いてないよ〜!!!












あなた「取り敢えず、授業はちゃんと受けようね。授業中は寝ないこと!いいですか!?」



「「「「「____________、はいっ、っ!!!」」」」」



目の前に整列しているバレー部5人。それぞれ1人1人を見上げながら、まずは基本中の基本を言い聞かせる

皆、背筋をピシッと伸ばして返事は良い








勉強会は、バレー部の朝練が無い日に集まることになった





早速、明日の朝から開始!

という事で話はまとまり、各々自分の教室へ戻って行った



いつの間にか人混みもなくなり、角名くんも自分の席へと戻って行く



そんな皆の後ろ姿をぼんやりと眺める










ハァ〜…



朝からちょっと疲れたかも……

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