第24話

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2021/02/16 12:00
あなた「あ、え〜っと……治くん?別に私、迷子になったりしないよ??」


宮家を出る時からずっと私の右手は治くんに握られている





「1人で歩けるよ」と繋いだ手をブンブン振ってみるが、治くんは手を離してくれない





治「そんな心配してるんとちゃうけどな」


私には見向きもせず、真っ直ぐ前を向いたまま治くんは歩いて行く








スポーツマンらしい筋肉質の少しゴツゴツと骨張った固い感触。でも、その感触の割にはそっと優しく私の手を包む治くんの温もりが、繋いでいる右手から伝わってきて








____________、ヤバイ…//



ドキドキしてしまう……








や、違うか……バレー部はコミニケーションの距離感近いんだった!!



そしたらさ、何かこれって……幼稚園児のお散歩みたいじゃない?



あれ?でも、宮兄弟って女子に興味無いんじゃなかったっけ……それって、ただの噂?








ん〜…。何か、もうよく分かんなくなってきた










治「「治くん」やのうて、「治」や」


あなた「へっ……?」



考え事をしながら繋いだ手を見つめて歩いていると、頭上から治くんの声が降ってきた。思わず治くんを見上げる



治「せやから、俺の呼び名。呼び捨てでええよって前に言ったやろ」


あなた「あ、うん……」


治「呼んでみいや。呼び捨てで呼べたら……手、離したる」


あなた「えっ……。何?急に?」


治「ええから。ほら、」


あなた「あ、うん。あ…お、治…くん」


治「ハハハ……ダメやな。「くん」付いとるやん。ほな、もう一回」


あなた「えっと……お、治…」


治「もう一回やな」


あなた「え〜!今、呼び捨てで呼んだよ!?」


治「あなたの心の声が聞こえたわ。心の中で「くん」付けたやろ」


あなた「____________っ、ん"ん〜//、そんなに急には無理だよ〜……
今まで男の子の事、呼び捨てで呼んだ事なんてないし……」



確かに、前に「呼び捨てで」とは言われたけど。だからっていきなり呼び捨てするのは私にはハードルが高くて……治くんの無茶振りに泣きそうになる


治「ほらほら、コンビニに着くまで練習や」


あなた「……お、おさ、む…」


治「もう一回や」


あなた「治……」


治「何や、不自然やな〜。もう一回や」


あなた「治」


治「お、ええやん。ほな、もう一回」





治くんは私が名前を呼ぶたびに「ハハハ……」と楽しそうに笑っている








____________あ、もしかして……。これ、面白がってるだけなんじゃ…?












あなた「____________///ヒャッ……。こ、今度は何?ってか、近くない…?……ですか??」





コンビニに着いて、コピーするからと言うと治くんは渋々手を離してくれた





でも今度は私のすぐ隣に立ち、私の顔を覗き込みながら髪を掬って、その長い指先で弄っている


髪を掬いながら、ふとした拍子にその指先がそっと頬に触れる





あなた「____________、ヒャッ……///」



その指先の感触が擽ったくて、頬に触れるたびに小さく声が出てしまう





治「いや……あなたには、これくらいせんとな」


あなた「へっ……それって、どういう意味?」


首を傾げながら治くんの顔を見返す


治「俺の事は気にせんと、コピーせな」



治くんは「フフフ……」と笑いながらも、髪を弄る手は止まらない










あなた「よしっ、コピー終わったよ」


治「おん。なら」


一言だけ呟くと、治くんはもう一度私の手を取り歩き出す








だから……1人で歩けるんだけどな
















侑 side





ん……便所言うて、サムのヤツ遅ないか?


う○こかいな?







角名「ねぇ…治、どこ行ったの?」


侑「便所言うてたやん」


角名「……にしては遅くない?」


角名の言葉に銀と小作も手を止めて顔を上げる



侑「……せやな。ちょっと見てくるわ」











____________はぁ?!





便所へ様子を見にきたけど、アイツ居ないやんけ!!!





ま、まさか____________、!!!





玄関を確認する





__________________やられた…





玄関にサムの靴が無くなっとる!!

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