猛「やったー!!あなた行こうぜ!」
猛は扉の隙間が大きく開いた瞬間に一目散に中へと入って行く
あなた「えっ……あ、猛!」
治「北さんじゃのうて、俺に言うてくれたらええのに」
猛を追いかけようとした瞬間、腕を掴まれて背後から耳元で声をかけられた
あなた「ヒャッ____________、!」
耳にかかる吐息に背筋がゾクリ____________、とする
今朝の記憶が甦り、勝手に顔が熱くなる
私の発した声に侑くんがこちらを振り返る
侑「あなた、どうしたん?顔赤ないか?具合でも悪いんか?」
あなた「ふぇっ?!……だ、大丈夫大丈夫!何でもないよ!」
思わず大きな声が出てしまい、慌てて顔の前でブンブンと手を振る
侑「そうか……」
治「………………。」
治くんは何も言わず。ただ、朝と同じニヤリとした笑みを口元に浮かべている
侑 side
……あなたの様子おかしないか?真っ赤な顔して
せやけど、体調は悪ない言うとるし
なんや、キョドっとったな
あなたを見とるサムのあの表情も。気になるで……
まさか、あいつ……あなたに何かしたんちゃうか?
侑「おい!サム、あなた嫌がっとるやろが!」
あなたの後ろ姿を目で追いかけながら、カマをかけてみた
治「あ"ぁ?何や、見とったんか」
やっぱりや。こいつ、何したん?
治「せやけどな、言うたやろ。あなた、鈍感やねん。あれくらいせんと何も気付かんで」
侑「………………。」
治「何やそんな目で見んなや。ちょっと耳元で話しかけただけやないか」
ほぅ〜…。そういう事かいな
こいつ。何勝手にあなたに近付いとんのや💢
せやけどな。自分1人だけあなたに近付いてると思ったら、大間違いやで
あなた side
北「この辺から観とき。あ、流れ玉には気い付けや」
あなた「はい。ありがとうございます」
北さんに促されるまま、体育館の隅に猛と並んで座る
侑「あなた〜。こっちやこっち、俺だけ見といてな〜」
コートへ戻る途中、足を止めこちらへ振り返りながら侑くんが元気に手を振ってくる
そんな侑くんは北さんに「こら!」と背中を押されながらコートへ戻って行った
猛「あなた、あの人知ってるのか?!」
あなた「あの人?……北さん?」
猛「違うよ!双…子?の事」
あなた「あ、うん。友達だよ。ってか猛、昨日体育館覗いてたのに、双子だって気付かなかったの?」
猛「き、昨日はっ、、サーブしか観てなかったんだよ……」
私の指摘に恥ずかしそうに、そっぽを向きながらモゴモゴと返事をする
「あ"ーーーーーー!危ない!!」
あなた「________________、!?」
声のする方へ顔を向けると、ボールがこちら目掛けて飛んでくる
バシッ
「っと……すまん。大丈夫かいな?」
咄嗟に瞑ってしまった目をゆっくり開ける
あ、確か3年生の……
侑「ナイスや!アランくん。あなた大丈夫か?!」
アランくんと呼ばれた3年生が、飛んで来たボールを私の目の前で受け止めてくれていた
あなた「ありがとうございます」
ホッとして笑顔を返す
尾白「……/// 流れ玉、しょっちゅう飛んでくるから気い付けてな(……この子の笑顔、破壊力半端ないで)」
最初はパス練習、次はレシーブ練習……と、どんどんメニューを変えて練習は進んでいった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!