あなた side
4月______
クラス替え
掲示板に貼り出されたクラス分けから、自分の名前を探す
あなた「あ、あった。1組か……」
〈2年1組〉
教室の入り口の表示を確認して中に入る
教室の中には半分くらいの生徒が揃っている。1年の時から知ってる顔を探すが……今のところ女子の中には居ない
席は出席番号順。自分の席を探して座る
?「ねぇねぇ、間宮さんやね?」
突然前の席に誰かが座り、話しかけられた。え〜っと……顔も名前も分からない
あなた「あ〜…うん。間宮です。間宮あなた」
?「やっぱり!私は冴島。冴島翠!ヨロシクね」
そう言って冴島さんは、にっこり笑いながら片手を出してきた
私も「ヨロシク〜」と言いながら片手を出し、握手する
冴島「っ……やっば!間宮さんの手、綺麗!指細っ!ってか、長っ!流石、天才ピアニストやね!」
あなた「へっ…?あ〜…天才は大袈裟だよ(苦笑)っていうか、ピアノと指の細さはあんまり関係ないんじゃないかな……?よく分かんないけど(笑)」
冴島「えっ……あ、そっかぁ…(笑)」
私達2人は顔を見合わせて「アハハ……」と笑った
突然廊下から「キャーーーーーー!」という歓声が聞こえた
冴島「あ、もしかして……来たんちゃう?」
この歓声と冴島さんの一言に、私も今更ながら「(____________あ、……)」と気が付いた
その数秒後、教室に入ってきたのは……
恐らく校内一有名でモテる双子。の片方、バレー部の宮治くん。と同じくバレー部の角名くん
教室内がザワつく
何人かの女子生徒は「同じクラスになれてラッキーや…//」「ウチもやで…!//」と顔を赤くして騒いでいる
あなた「(まさか、同じクラスとは……自分の名前しか見てなかったわ)」
冴島「相変わらず、凄い人気やな〜…宮兄弟は」
歓声を背中に受けながらも宮くんと角名くんは涼しい顔をして教室に入って来た
宮くんが私の横を通る時、チラッとその横顔を見上げる
あなた「(……確かに…イケメンだわ)」
綺麗に整った顔立ち。強豪稲荷崎高校バレー部で、2年生にしてレギュラー入り
あなた「(これでモテないはずがない……)」
と思った瞬間____________
ドサッ
あなた「(____________えっ!?)」
振り向くと私の後ろの机に宮くんが鞄を置き、そのままその席に座った
治「……俺に用なん?」
後ろを振り向いたまま固まっている私に宮くんが話しかけてきた
あなた「は?あ、いや……。あ、え〜っと……前の席の間宮です。よろしくね」
咄嗟に挨拶をする
治「おん。よろしゅう」
表情を変えずにそう言って私をチラ見する
宮くんは鞄からお握りを取り出してムシャムシャ食べ始めた
で、会話は終了してしまった……
あなた「(____________、っ!!コミュニケーション取りずらっ!)」
宮治が後ろの席だなんて、これから毎日気が重い……(涙)
冴島「お〜い、角名!角名リ〜ン!今年も同じクラスやね。よろしく!」
冴島さんが角名くんに話しかけている
角名「……ん?冴島?あ、今年も同じクラスなん」
角名くんも表情を変えずに喋っている。そんな角名くんにすかさず冴島さんが物申す
冴島「なんや、角名!ウチに対してその冷め切った目ぇは!!」
角名「いや……クラスメイトに対して"冷たい"も"温かい"も無いよね。相変わらず騒がし…」
そんな2人のやり取りに宮くんが口を挟む
治「角名。知り合いか?」
角名「知り合いって言うか、去年同じクラスだった奴」
治「ふ〜ん…」
冴島、あなた「「((興味薄っ!!))」」
冴島「ま、宮兄弟は女子に興味ないらしいからな……」
その言葉に私もコクコクコクと鶏のように頭を動かし頷く
冴島「あ、せや!名前な、ウチの事下の名前で呼んでや。ウチは翠や」
あなた「あ、じゃあ私も…あなたで」
あったその日の名前呼びはお互い照れ臭くて、もう一度顔を見合わせて「フフフ……」と笑い合ってしまった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。