治 side
侑「なら、先に風呂行くで」
治「おん」
夕飯を食い終わって、ツムが風呂に行った事を確認してからあなたにLINEを送る
あなた『今、部活終わったの?』
おぉ!!なんや、あなたからの返事はすぐにきた
治『いや、もう帰ってきとる。今は夕飯食い終わったとこやねん』
あなた『私も。ピアノのレッスンが終わったところ』
治『ほんなら、ちょっとだけ電話してもええ?』
あなた『うん。いいよ』
ベッドに腰かけ、すぐにLINE通話のボタンを押す
あなた〈もしもし、〉
治「あ、もしもし。俺や……治」
耳元であなたの声が聞こえて、何や……すぐったいやん//
あなた〈フフフ……うん、分かってるよ〉
普段気にしてへんかったけど、こうやって聞いとるとあなたの声って綺麗やんなぁ
あなた〈____________くん、…治くん、…治くん?〉
治「……あぁ、すまん。考え事してもうた」
あなた〈大丈夫?部活と勉強で疲れてる?〉
治「フフッ……何や、心配してくれてるん?優しいなぁ。けど、大丈夫やで」
あなた「でもバレー部、練習大変でしょ?」
治「ん〜、でもバレー好きやしな
あ、そうや。あんな……俺、勉強頑張るからな。模試が終わったら、勉強教えてもろたお礼がしたいねん
どっか行きたい場所とかある?」
あなた〈えっ!いいよ。そんな……気にしないで〉
治「いや、俺への褒美でもあんねん」
あなた〈……ん?〉
治「ん"、ん〜…。まぁ、勉強終わった気晴らしと思って。な、」
あなた〈う…ん。じゃあ、考えておくね〉
治「おん、考えといてな。あ、ちなみにツムには内緒やで」
あなた〈えっ?!皆で……じゃないの?〉
治「おん。俺とあなただけ。"特別"や」
あなた〈……特別?〉
治「せや、特別……、や
まぁ、あんまり深い事気にせんと考えといてや。ほな、おやすみ」
そう言って通話を終了させた
そうや……"特別"
俺、あなたと"仲良くなりたい"やのうて、あなたの"特別"になりたいと思っとるわ
侑 side
侑「サム〜。風呂空いたで」
治「おん」
サムがタオルと着替えを持って部屋から出て行く
治「……あ、なぁ。俺、ツムに譲りたくないもん出来たわ」
部屋から出て行く直前に振り返り、俺の目を真っ直ぐ見つめながらサムが口を開く
侑「はぁ??いきなり、何なん?!何の話や?」
首にかけたタオルを外しながら俺もサムを見返す
治「惚けんなや。分かっとるやろ」
そう言い捨ててドアを閉め、部屋から出て行った
____________何やねん、サムのクセに…
俺とサムは何かと張り合う事が多い。それが双子故なのかはよく分からないが……
とは言っても要領良くこなすのはサムの方で、大概悔しい思いをするのは俺や。俺はその度にサムを見返したくて仕方なくなる
そやけど、俺が負かしてもサムが悔しがる事はあんま無い
そのサムが……
____________珍しく、本気っちゅう事かいな
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。