第33話

#33
563
2023/01/21 13:06
【あなたの下の名前said】
久しぶりに自炊をした

心が空っぽで何もやる気が起きなくて

しばらくコンビニの弁当ばかり食べていたけど


流石にもうそろそろ健康に気を使わないと、と思ってキッチンに立った



作っていくとだんだんいい匂いが部屋中に立ち込める


お腹も空いてきて早く食べたくなる


そんな時に玄関のチャイムがなった






玄関まで言ってみると聞こえるのはシルクの声




あのアンチコメントを見たみたい


「戻ってきて欲しい」とか言っている








声の感じから

あいつの必死な顔が想像できる



一瞬だけ心が揺さぶられたが


友達としても付き合わないって言ったのそっちじゃん。


冷たい言葉が口からは零れた








もう傷付きたくないって思った







「仲間だろ。」




やけに優しいシルクの声が傷だらけの心に染みる









仲間なんて所詮綺麗事











大人になりなよ。




小さく呟いた








心の奥で「またFischer'sのみんなと一緒に笑いたい」って叫ぶ自分がいたけど

気付かないふりをして玄関から離れた






昔からあいつと過ごしているからこそ




大切にしている「仲間」を否定されることが



シルクにとってどんなに悲しいことか


私には分かる








でも


そんなもんなんだよ、意外と。




あなたが思ってるほど世の中は甘くない





どんなに大切な仲間でも

どんなに昔からの仲間でも







どうせ赤の他人に引き離される















キッチンまで戻ってきた






なんだかもうお腹は空いていなかった

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