廉とはクラスが離れているから、私がいじめられている姿を廉に見られることはなく、前より酷くはなかったので周りからも見られることはなかった。
LINE
廉を無視する…?
どーやって、私…そんなの、
廉の笑顔を見ただけで舞い上がって、顔が赤くなって、お付き合いしている現在…
いつでも彼のそばにいたくて、話していたくて堪らないのに?
できないよ…。
かれん達に言われてから数時間経ちお昼休みになった。
案の定廊下をドタドタ走る音が聞こえたかと思うと教室のドアを思いっきり開け、愛しい人が私を見つめ笑う。
にこやかな笑顔で私に
そう言う。
返事がしたくて堪らない。
でも少し遠くにいるかれん達を見ると、私を見てニヤニヤしながら笑ってる。
弱い私はそんな彼女達の言いなりにしかなれない。
同じクラスにいるみなみも不思議そうな顔で私を見つめ、こっちに近づいてくる。
私は走って近くのトイレに駆け込んだ。
溢れ出てくる涙は止まることを知らない。
好きな人に嘘をついて、好きな人を無視する。
誰もが最低だと思うことを私は今、世界で一番大切な人にしている。
そんな自分が愚かで情けない。
自分を責めることしかできなくて、個室のドアを閉めドアに寄りかかり溢れ出てくる涙を手で抑える。
しばらくするとトイレに入ってくる足音と「クスクス」と笑う声が聞こえた次の瞬間____
“ザバーンッ”
数秒経って何があったかを認識する。
胸の位置まである長い髪からポタポタと垂れる水滴、ワイシャツの中まで入る冷たい水。
笑い声と共に足音も遠くなり、
彼女達が出て行ったことを知る。
私はその場で泣き崩れた_______
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。