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2021/07/01

第1話

始まり
「お前は化け物だ。」

バッと飛び起き、目を覚ます。
心臓はドクドクと音を立て、背中には冷や汗が流れた。

未だ音を立てる心臓を、ギュッと抑えて、息を吐く。
(嫌な夢を見た…。)
深呼吸をすると、だいぶ落ち着いて少しふらふらとしながらも、ベッドから降りた。

普段なんとも思わない廊下が、いつもより長く感じてしまった。

俺の村は、黒髪黒目が普通だった。
村のほとんどの人が黒髪黒目で、たまに濃い茶髪の人もいたがそれくらいだった。
だけど俺だけ違った。
両親も黒髪でちゃんと黒色の目をしていたのに、何故か俺だけ蒼髪蒼目だった。

洗面台の鏡に映る姿は言った通りの色合いになっている。
俺の人生はこれに、この色に苦しめられたのだ。

生まれた当初、村の人たちも驚きはしたものの、その珍しい色に"神の子"だと言って崇めた。
この村は水の神様がいらっしゃるやらなんやらと言われ続けていて、蒼色が村の象徴だった。
だけど俺が10になるころ、何故か雨が降らない日が続いたのだ。
貯蓄の水も足りなくなり、雨乞いをしても雨は降らない。
何日も水不足が続き、村の人達は神が我らを見放さったのだ。なんて言い出した。
その怒りの矛先に向いたのは俺ら家族だった。
今までの態度とは一変。俺の事を「化物」と言うのだ。
(勝手に持ち上げたのは、お前らだろ)
なんて心の中で悪態を着いても、大人の力には流石にかなわなくて、何度も殴られた。

両親は村の人達に追い詰められて自ら崖から飛び降りた。
正直、親も金のことしか頭にないクズだったので、そこまで悲しくはなかった。

だんだんと酷くなっていく暴力に、何度やめてくれと叫んだか分からない。

「気持ちが悪い。」

「なんでお前は生まれてきた。」




「お前は化け物だ。」

その言葉を最後にその村から逃げ出した。
森の中を何度もつまづきながら走った。
もう体力も走る気力も無くなった時、目の前には大きな館があった。
割れた皿や、中に何も入っていないタンスもあったけど、それ以外は普通だった。
そこから今まで住み続けて何十年、ずっとぼっち暮らしだ。

そこら辺で自分がずっとぼーっとしていたことに気づいて、慌てて顔を洗った。
パチャパチャと水を当てても、何故か気分は晴れない。
顔を少し乱暴に拭いて、次いでに洗濯物を回そうと蓋を開ける。

「洗濯機回したの忘れてたわ。」

昨晩、洗濯機回しとこうと思って回したのにすっかり忘れていた。
あちゃーなんて思って洗濯物を取り出していたら、ふと外から雨音が聞こえてくるのがわかった。
ポツポツと降っていたと思ったら、いきなり土砂降りになった。

窓に叩きつけられる雨粒を見ながら、自分の心がスっと冷めていくのがわかった。

「洗濯物、干せねえじゃねーか。」

ぽつりと呟いた俺の手には、洗濯物が握られていた。