第9話

見せてよ コンちゃん編
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2021/07/25 07:00

取り敢えず全員の意思がわかったから、次は計画を練らないといけない。
でも今のところちゃんと4人の能力を知らないから……。
あ、じゃ見せてもらえばいいんじゃね?
と思いついた。
そこで4人にその事を言い、被害のない館の裏に来た。
太陽が照りつける昼間だが、背の高い木に囲まれているため割と涼しい。
ただたまに獣や人間が来るから気をつけないといけない。

「じゃあー最初はコンちゃんからでいい?」

「いいよー」

と返事を貰ったので早速やってもらう。
コンちゃんは少し離れた所へ行った。
コンちゃんが手を空中にかざすと、筆とパレットが握られていた。
目の前の浮いているキャンバスに絵を書いていく。
パレットに乗っている絵の具は使っているはずなのに、減ることがない。
それを見ていると、急に服を引っ張られた。
後ろを振り向くと、引っ張ったのはきょーさんで耳を貸せと合図してきた。

「コンちゃんの絵、見るのはええけど自己責任な。」
「後、見すぎるのもやめといた方がええで。」

そんなことを言われた。
なんでそんな不安になるようなこと言うの?
言ったきょーさんはそそくさと自分の場所へ戻って行くし……。
それにコンちゃんが絵を描き始めてから、嫌な予感が止まらないのだ。
自然と肩に力が入る。

「できたよー!」

緊張している中、そんな陽気な声が聞こえた。
その明るい声に、思わず警戒を解いてしまったのが間違いだったかもしれない

「じゃあ今日から君は"マリー"だ。」
「よろしくね?」

コンちゃんに"マリー"と名付けられたナニカは、キャンバスの中から這い出てきた。
体全体が紫色で大きな頭が1つ着いている。
足と手が沢山あって、全部形がバラバラだ。
体が液体のようにドロドロとしていてなにかが蠢いていた。
極めつけに大量の目。
その全てが血走っていて、頭だけではなく身体中色んなところにあった。
正直直視できなくて、思わず目を瞑った。
しかもそのナニカは謎の鳴き声を上げている。
気持ち悪い。
きょーさんの警告がどれだけ大事だったかわかった。
多分あれがなかったらめっちゃ見てたと思う。

「コンチャン、モウイイヨ。」

と声が聞こえた。
だけどその声は自分より前から聞こえるのだ。
確かさっきまでは後ろにいたのに…。と不思議に思い、瞑っていた目を少しだけ開けた。
目の前には紫色の化け物とみどりくんがいた。
ソイツは自分が目を瞑っている間に、音もなく近づいていたのだ。
思わず息を詰めた。
紫色の間から見えるコンちゃんの顔は、ゾッとするような笑顔だった。
そんな顔をしていたが、みどりくんが手をかざすとコンちゃんは降参というように両手を上げた

「ジョークだよジョーク。ごめんって。」

そう言ってコンちゃんは能力を解除する。
そう言っていたがそれでも顔は笑顔のままだ。
それは置いておいて、次はレウの番だ。
レウと入れ違いで帰ってきたコンちゃんは楽しそうだった。







「惜しかったなぁー……。」





なんて聞こえた言葉は、聞き間違いだと思いたい。

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