第2話

§
1,004
2021/10/15 12:00










お母さん
あなたの下の名前〜
お母さん
畑に野菜取りに行ってくれる?
あなた
いいよー

私の朝は畑仕事から始まる
あなた
(今日は…ピーマンとゴーヤかな)

夏が終わりかけ秋に入ろうとしている今の時期にはピーマンやゴーヤが収穫時期だ


歩いて10分くらいのところに大きな畑がある
あなた
(今日もやりますか!)


せっせと野菜を収穫


あなた
(あ、これ虫に食べられてる…)



そして収穫を終えたところで家に戻る


あなた
(今日も沢山買って貰えるといいなぁ)















そういえば私がこの町を出ていかない理由を話してなかったね
それを今から話したいと思う





一昨年私の父はがんで亡くなった
私の父“片桐 龍一郎りゅういちろう”は日本五大財閥の一角、片桐財閥のトップであった










そして父の葬式が行われた時




父に関係する人が全国から集まった
あなた
……
お母さん
……
父の兄
……
親戚のおばさん
従兄弟
……
父の兄
な、なぁ!
親戚のおばさん
父の兄
弟の遺産はどうなるんだ?
あなた
……
従兄弟
そんなの俺たちだろ!
親戚のおばさん
はぁ?!何を言ってるの?!
親戚のおばさん
彼の遺産は私たちよ
お母さん
み、皆さん
父の兄
そんなのおかしいだろ!兄の俺が貰うべきだ!
従兄弟
兄弟だからなんだよ!俺たちにだって権利はあるだろ!
父の兄
従兄弟だからってシャシャってくるな!
父の兄
血の繋がりが薄いお前たちに渡す財産なんかない!
あなた
……
お母さん
皆さん…お、落ち着いて
親戚のおばさん
あなたは黙ってて
親戚のおばさん
この家で一緒に住んでる私たちが貰うべきよ!
親戚のおばさん
庭の手入れ、朝食、掃除、洗濯、なんでもやってきたわ!!
あなた
(嘘をつくな…あんた達はそんなことしてない……)
あなた
(今更いい人振ってなんなの)
父の兄
俺は弟のためなら何でもしてきた!
あなた
(何にもしてないじゃない…お父さんからお金を借りて返さない奴が…)

その時だった

父の友人
みんな静かにしろ!
あなた
……
お母さん
森山さん…
父の友人
美智子さん…俺龍一郎さんから預かってるもの……あるんです

森山さん…父の幼なじみ

美智子さん…母
お母さん
預かってるもの?
父の友人
……龍一郎さんの遺書です
お母さん
遺書……
親戚のおばさん
そ、それにきっと相続相手が書いてあるんだわ!は、早く読んでちょうだい!
あなた
……
父の友人
俺はこの遺書に一通り目を通してる
父の友人
ここにいる人はこの遺書の結果に文句はつけるな
父の友人
…家族へ
父の友人
私が死んだ時は大事にしないでくれ
父の友人
静かにあの世へ行きたいからな
❮遺書❯


みんなが気になるのは相続相手だろう
安心したまえ、ちゃんと決めておる
こんなド田舎に生まれて大きく育ってくれた
相続するのは私にとって世界で1番の宝
父の友人
相続するのは…毎年野菜を育て、誰にでも仲が良く、欲にまみれず、人を思い、笑顔が絶えない私の娘だ
父の兄
は!?
親戚のおばさん
な、なんで娘が相続するの!?
従兄弟
おかしいだろ!
従兄弟
まだ高校生じゃないか!!
あなた
……
父の友人
今、この時点で龍一郎の遺産はあなたの下の名前さんに渡った
父の友人
遺産の権限はあなたの下の名前さんにある
親戚のおばさん
あなたの下の名前ちゃん!おばさんに少し分けてくれない?
親戚のおばさん
ちょっとでいいの!1000万でいいわ!
父の兄
何を言ってるんだ!?
父の兄
あなたの下の名前ちゃん、こんな人よりも俺たちに分ける方が君のためにでもなる!
あなた
……
従兄弟
俺たちだろ!分けてくれねぇか?
あなた
嫌です
あなた
父の遺産は誰にも渡しません
親戚のおばさん
は?!
お母さん
あなたの下の名前…
あなた
私はこの田舎で生きていきます
あなた
私は今後あなた達と金輪際関わる気はないので
親戚のおばさん
!!
父の兄
!!
従兄弟
!!
親戚のおばさん
あっそう!ならこちらからも願い下げよ!
従兄弟
二度とこんな田舎に来るかよ!
あなた
……



私へと渡った父の遺産




もう誰も手を出さないかと思ったけど




やはりまだ手を出す人はいた

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