後ろを振り向くと、大我くんがいたー
大我くんは、黙っているがきっと、
言いたいことがありそうだー
私も指輪のこと…
聞きたいけど…なんとなくこの空気では
聞きづらくてー
会話もなくピアノ教室に入っていくー
大我くんは、小学生のレッスンを手伝っていたー
私は1時間ぐらいピアノを弾いて帰ろうとするー
少し寂しい気もするけど、私はピアノ教室を出たー
そういって私は北斗の家に上がったー
木曜日は決まって北斗の家に行くー
そこで音楽のこと、教えてもらっているー
私のわからないところも丁寧に北斗は教えてくれるー
気がつけば、夕食の時間になってて、
私はご飯をいただいたー
遅くなった日は決まって北斗が送ってくれるー
それは、私の好きな
クラシックのコンサートチケットだったー
北斗は、私のことをよくわかってくれているー
お母さんと私の関係もー
ピアノ教室のこともー
もともとは、北斗と同じピアノ教室で、
そこで知り合ったー
お互い周りの期待に応えるために
しんどくなってたときに、
たまたま公園で出会って、
そこで話して、仲良くなっていったー
北斗だからわかってくれるー
そんな気持ちが通じあったからこそ、
私はまだピアノを弾いているんだ、きっとー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!