前の話
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その後のリビングは
みんな黙って何も言わなかった
私もそうだけど...みんな、
許嫁なんて突拍子もないこと言われて
頭が混乱してるんだと思う
まっけん...どういうつもりなの...?
いったい誰のことが好きなの...?
私も食事を終えて部屋に戻ろうとした時
私の腕を掴んで流星くんは歩き出した
流星くんの部屋に入ると
空いてる床に座った
私はそう言いながら
思わず涙が零れていた
私、本当にまっけんのこと好きなんだよ...
大好きなのに、
どうしてまっけんの気持ちは
こんなにも分からないんだろう...?
まっけんが今...誰のことを思ってるのか...
誰のことを考えてるのか...
私には全く分からないよ...
私の目からはずっと涙がこぼれている
その涙を流星くんは
手で拭ってくれた
私が顔を上げると
流星くんも一筋の涙を頬に伝わせていた
私が自分の部屋に帰ろうと廊下を
歩いていると
まっけんの部屋から賢人くんが出てくるのが
見えた
私は思わず声を出して呟いていた
賢人くんは私に気がついて
足を止めた
私が言い終わる前に
賢人くんは走っていってしまった
なんだったんだろう...?
なんでもないって...
なにもなかったらまっけんの部屋になんか
行かないよね...?
許嫁がいるということが
頭の中をよぎってその日はなかなか
眠れなかった
次の日
リビングに行くと
いつものようなまっけんの姿はなかった
健太郎くんが私の方を見ずに言った
私に言ったわけじゃなかったんだ...
それは...まっけんも...ってこと?
それとも...流星くんみたいな...
人のこと...?
私は消化できずに学校への道を歩き始めた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。