第52話

# 52
3,779
2020/02/28 06:22
家に帰ると何やら話し声が聞こえてきた


でも1人の声しか聞こえない
あなた

なんだ...?

私が各部屋を覗いていくと
亮くんの部屋から亮くんの声がした
吉沢亮
吉沢亮
...ごめん、それは
吉沢亮
吉沢亮
なんでよ!私のこと...好きじゃなかったの...?
吉沢亮
吉沢亮
好きだよ!今だって...
吉沢亮
吉沢亮
じゃあどうして...?
何してるんだろう...?


私が前に乗り出したとき


私の横にあった棚が腕に当たって


音を立ててしまった




その音に反応して亮くんがこちらを向いた
吉沢亮
吉沢亮
誰...?
私は仕方なく出ていくことにした
あなた

ごめん...盗み聞きみたいなことして...

吉沢亮
吉沢亮
あなたか...
あなた

それより、何してたの?今...

吉沢亮
吉沢亮
.......
あなた

ごめん、言いたくないのはわかってるけど...
でも私もうそのこと知ってると思う...

吉沢亮
吉沢亮
...遥亮か
あなた

違うよ!これもまた...盗み聞きみたいなことになっちゃってたんだけど...

吉沢亮
吉沢亮
なんだよそれ...盗み聞きが好きなの?
あなた

そんなんじゃなくて...!たまたまそうなっちゃったの、

吉沢亮
吉沢亮
ふ〜ん?
あなた

...お芝居してるの?亮くん

私がそう言うと動きを止める亮くん
吉沢亮
吉沢亮
...やっぱり遥亮か
あなた

だから違うってば

吉沢亮
吉沢亮
.......
あなた

ごめん、私が知らない方が良かったことなのはわかるよ...でも、私もっと亮くんのこと知りたかった

そう言うと亮くんは黙って下を向いた















しばらくの沈黙の後
吉沢亮
吉沢亮
...オーディション
亮くんが口を開く
あなた

え?

吉沢亮
吉沢亮
僕、オーディション受けてるんだ、役者になりたくて
あなた

...役者

吉沢亮
吉沢亮
うん、芝居してると...他のことをしているよりもすごく楽しい
あなた

そうなんだ...

吉沢亮
吉沢亮
僕が役者をめざしてオーディションを受けてるって言うのもシェアハウスにいる人は知らない人もいる
あなた

え...?そうなの?

吉沢亮
吉沢亮
...別に言う必要ないし
あなた

.......

吉沢亮
吉沢亮
あなたに言ったのは...優太とも面識あったし...その...


亮 side


あれ、今思えばなんで...


芝居のこと打ち明けようと思ったんだっけ...?



あなた

そっか...じゃあ私のこと、亮くんが心を許してくれてるってこと?

吉沢亮
吉沢亮
...心を許すっていうかそんなんじゃない
あなた

じゃあなんで言ってくれたの?

吉沢亮
吉沢亮
...それは
亮くんがそこまで言うと


















入口から物音がして振り返ると
杉野遥亮
杉野遥亮
亮、僕は何も言ってないから
遥亮くんが現れて言った
吉沢亮
吉沢亮
き、聞いてたの...?
杉野遥亮
杉野遥亮
ごめん、でも僕は知ってるからいいでしょ?
吉沢亮
吉沢亮
そういう問題じゃ...
杉野遥亮
杉野遥亮
なになに?亮、あなたちゃんのこと好きだったりするの?
吉沢亮
吉沢亮
なっ!?
杉野遥亮
杉野遥亮
冗談、冗談、わかってるって
吉沢亮
吉沢亮
.......
杉野遥亮
杉野遥亮
そんな目で見ないで??
あー、もう分かったよ、僕行くから
そう言い残して去っていく遥亮くんを見て
吉沢亮
吉沢亮
あーもう...遥亮のせいで...
亮くんがそう呟いた
あなた

あ!そうだ、亮くんオーディションの練習してたんだよね?

吉沢亮
吉沢亮
そうだけど
あなた

じゃあさ、私が相手やってあげるね

吉沢亮
吉沢亮
え!?
あなた

一人二役って...きつい所あるでしょ?

吉沢亮
吉沢亮
.......
あなた

私何やればいい?

吉沢亮
吉沢亮
本当に...やるつもりなの?
あなた

なんで嘘つく必要があるの?笑
やるよ!

吉沢亮
吉沢亮
...じゃあそこやって
あなた

ここ?わかった






私と亮くんは一緒に芝居の練習を始めた








吉沢亮
吉沢亮
...ごめん、それは
あなた

なんでよ!私のこと...好きじゃなかったの...?

私がそう言うと亮くんは



私に近づいてきて両肩に手を置いた
吉沢亮
吉沢亮
好きだよ!今だって...




私はその言葉を言われた瞬間


セリフだってわかってたのに


不覚にも胸の奥がザワザワして


心臓のドキって音が聞こえてしまった
あなた

...!

吉沢亮
吉沢亮
.......
あなた

.......

吉沢亮
吉沢亮
...次のセリフは?
あなた

...あ、ごめん、じゃあどうして...?

吉沢亮
吉沢亮
もう...やるなら本気でやれよ
そう言って私の肩から手を離す亮くん


...本気で芝居してる亮くんはあんなにかっこいいんだ
あなた

亮くん、ほんとすごいね

吉沢亮
吉沢亮
なにが?
あなた

だって...今私、不覚にもドキドキしてたよ笑

吉沢亮
吉沢亮
.......
あなた

お芝居してる時の亮くんって...いつもと全然違うなって思って

吉沢亮
吉沢亮
...そうか
あなた

うん...



私たちはそのあとは練習せず


私が部屋を出た








もし次、練習することがあったら...


ちゃんと亮くんに見合うぐらいの演技して


返してあげなきゃ...











亮 side


...変な奴だ、やっぱり

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