家に帰ると何やら話し声が聞こえてきた
でも1人の声しか聞こえない
私が各部屋を覗いていくと
亮くんの部屋から亮くんの声がした
何してるんだろう...?
私が前に乗り出したとき
私の横にあった棚が腕に当たって
音を立ててしまった
その音に反応して亮くんがこちらを向いた
私は仕方なく出ていくことにした
私がそう言うと動きを止める亮くん
そう言うと亮くんは黙って下を向いた
しばらくの沈黙の後
亮くんが口を開く
亮 side
あれ、今思えばなんで...
芝居のこと打ち明けようと思ったんだっけ...?
亮くんがそこまで言うと
入口から物音がして振り返ると
遥亮くんが現れて言った
そう言い残して去っていく遥亮くんを見て
亮くんがそう呟いた
私と亮くんは一緒に芝居の練習を始めた
私がそう言うと亮くんは
私に近づいてきて両肩に手を置いた
私はその言葉を言われた瞬間
セリフだってわかってたのに
不覚にも胸の奥がザワザワして
心臓のドキって音が聞こえてしまった
そう言って私の肩から手を離す亮くん
...本気で芝居してる亮くんはあんなにかっこいいんだ
私たちはそのあとは練習せず
私が部屋を出た
もし次、練習することがあったら...
ちゃんと亮くんに見合うぐらいの演技して
返してあげなきゃ...
亮 side
...変な奴だ、やっぱり
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!