私の隣に立って独り言を言う男子高校生が
そう言って私とわざとらしく目線を合わせてくる
なんなのこの人...!?
私のこと身長小さいってバカにしてる...?
よく分からないことを言われているまま
何も言えないでいると
目の前の門が用務員のおじさんの手によって
開かれていく
こんな人と話してたらいつの間にか開く時間になってたのか...
そう言い残してその人は行ってしまった
なんだったの今の...?
また会える気がするって私はもう会いたくないんだけど...
私はそんなことを考えながら校庭に1歩踏み出した
気づくと周りはたくさんの生徒で溢れかえっていた
みんな新しい学級になるから
浮き足立ってるんだろう
私が1人で下駄箱前にいると
後ろから1番一緒にいて落ち着く人の声が聞こえた
まさか。私...
ほらやっぱり.................
私あんなに早く来てたのになんでこんなに
今焦ってるんだろ!?
自分が情けないよ...
私が急いで体育館の方へ向かっていると
独り言がやけにでかい人が私の後ろから走ってきた
待って...こっちの方向に行く人で
今の時間に焦ってるのって...新入生しかいないよね!?
走りながら思い切って話しかける
...あれ?聞こえてない?
これ...本当に聞こえてないの...
私は思わず立ち止まって後ろを振り返った
するとやっと気がついたのかその人は
私のほうを見て止まった
むしろ早く来すぎたぐらいだけど...
今思えばなんで話しかけたのか自分でもよくわからない
急にまた走り出したから私も慌ててついていく
体育館に無事着くと
まだ館内はガヤガヤしていて席につくのは容易だった
もうその時にはそれぞれ男子と女子に別れてしまったから
横にその子はもういなかった
名前...聞きそびれたな...
まあいっか...校内で会うよね...
私はそう思い入学式に参加した
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。