私が教室に入ると
そこにはもう既に生徒たちが集まっていた
みんな休み時間みたいに
ガヤガヤ思い思いに友達と話している
うわぁ...ここが私の新しい学校...
これから始まる華の高校生活に期待して
私の胸が高鳴った
先生が入ってきたことで全員がガチャガチャと
音を立てながら席に着いた
先生が話す言葉は半端にしか聞いてない
私の隣に座っていたのは
賢人くんだった.....
みんなは返事をしながらももう席を立ち始めていた
...私も早く帰ろう
それで部屋に閉じこもってれば誰も来ないし...
そう思い立ち上がると
賢人くんが私のことを見ていた
逆に興味あるとか言われたら気持ち悪いって
引きそうな気がする...
そう言い残して賢人くんは教室を出ていった
...賢人くんのこと私ちゃんと見てなかったのかな
昨日のお風呂のこと、それから今朝のことで
悪い人なんだと決めつけてた自分がいる
ちゃんと話してみたら意外と優しくて
私だけが勝手に賢人くんを都合いいように
解釈してただけだったのかも...
突然女子生徒たちの歓声が上がる
なにごと...?
私は気になって廊下に出てみる
すると
私が今朝会った、昨年首席合格のあの人が歩いてきていた
これこっち向かってきてる...!?
そう思って立ちすくんでいると
その人は私の目の前で止まった
周りの野次馬がうるさく聞こえてくる
でも私に何の用...?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!