第120話

# 120
2,401
2020/06/26 08:00
コンコン 


ドアを誰かが叩く音がする








坂口健太郎
坂口健太郎
...誰?
清原果耶
清原果耶
...健太郎先輩、お久しぶりです
坂口健太郎
坂口健太郎
...果耶、ちゃん
清原果耶
清原果耶
急にこんな所まで押しかけてごめんなさい
でも...ちゃんと話したいことがあって
坂口健太郎
坂口健太郎
...わかった

健太郎は部屋のドアを開けた


































坂口健太郎
坂口健太郎
話したいこと、って...
部屋に入ると


果耶は空いた床に座った


その後誰も何も言わなかった






少しして健太郎が口を開いた
坂口健太郎
坂口健太郎
話って...
清原果耶
清原果耶
私、健太郎先輩のことが好きです
坂口健太郎
坂口健太郎
.......
清原果耶
清原果耶
全然健太郎先輩のこと少ししか知らないって、分かってます
坂口健太郎
坂口健太郎
.......
清原果耶
清原果耶
だけど、これから知っていけばいいって思います 私がそうしたいんだって
坂口健太郎
坂口健太郎
...うん
清原果耶
清原果耶
...そう、思ってた
坂口健太郎
坂口健太郎
...?
清原果耶
清原果耶
...そう、思ってたのに
坂口健太郎
坂口健太郎
...果耶ちゃん?
清原果耶
清原果耶
今、健太郎先輩に今までの気持ちを打ち明けてようやく分かりました
坂口健太郎
坂口健太郎
...わかった?
清原果耶
清原果耶
...自分の、気持ちが
坂口健太郎
坂口健太郎
...そっか
清原果耶
清原果耶
健太郎先輩、ごめんなさい
坂口健太郎
坂口健太郎
なんで...謝るの?
清原果耶
清原果耶
私、他に好きな人が出来ました
坂口健太郎
坂口健太郎
...うん、そっか
清原果耶
清原果耶
だから...私がこれまで先輩に向けてきた気持ちは忘れてください
坂口健太郎
坂口健太郎
...忘れられないよ
清原果耶
清原果耶
え...?
坂口健太郎
坂口健太郎
だって、果耶ちゃんの今までの気持ちだって果耶ちゃんのものでしょ?それなのに忘れるなんてできない
清原果耶
清原果耶
...!
坂口健太郎
坂口健太郎
俺は、果耶ちゃんの気持ちに答えられないって言ったけど...忘れたいとは言ってないよ
清原果耶
清原果耶
.......
坂口健太郎
坂口健太郎
過去の自分がそれが一番正しいと思ってしたことなんだから
清原果耶
清原果耶
...はい
坂口健太郎
坂口健太郎
俺の事を好きでいてくれた果耶ちゃんも
今別の誰かを好きでいる果耶ちゃんも...どっちも俺は忘れたくない
清原果耶
清原果耶
...ありがとう、ございます
坂口健太郎
坂口健太郎
分かればいいよ
それで...誰のことが好きなの?笑
清原果耶
清原果耶
そ、それは...!
坂口健太郎
坂口健太郎
言いたくない?笑
なら別に無理に言わなくても...
清原果耶
清原果耶
...大志くん
坂口健太郎
坂口健太郎
え?
清原果耶
清原果耶
...大志くんのことが好きです
坂口健太郎
坂口健太郎
...そっか
清原果耶
清原果耶
...それじゃあ、


そう言って果耶は立ち上がった


健太郎に背を向けて


ドアから出ていこうとする






坂口健太郎
坂口健太郎
果耶ちゃん
清原果耶
清原果耶
...?
坂口健太郎
坂口健太郎
俺の事...嫌いにならないでいてくれてありがとう
清原果耶
清原果耶
え?
坂口健太郎
坂口健太郎
気持ちには応えられなかったし、きっと果耶ちゃんの中で俺にはいいイメージがないと思う でも、
清原果耶
清原果耶
...そんなイメージいくらでもありますよ
坂口健太郎
坂口健太郎
...え?
清原果耶
清原果耶
私、仮にも先輩のこと好きだったんですからね!
いい所ばっか知ってますよ...!

果耶は少し涙目になりながらそう言って


部屋を出ていった




































果耶と別れたあと私が部屋に向かおうとすると


遥亮くんの部屋の様子が


廊下から見えた





遥亮くんは机に向かってなにかしている





朝の話が気になって、私は話しかけることにした



あなた

遥亮くん

私が後ろから声をかけると


遥亮くんは私の方を振り返った



杉野遥亮
杉野遥亮
あなたちゃん、どうしたの?
あなた

遥亮くん...朝の、話 気になって

杉野遥亮
杉野遥亮
朝...って、なんの話してたっけ?笑
あなた

何の話って...分かってるよね?


私がそう言うと遥亮くんは私から目を逸らした


杉野遥亮
杉野遥亮
...うん、分かってるよ
あなた

...?

私の方をわざと向かないようにしているみたいな、


私が気になって顔を覗き込もうとすると


杉野遥亮
杉野遥亮
それで、その話の何がそんなに気になったの?
遥亮くんは体ごと私の方に向けた


でもその顔からは何も読み取れなかった


あなた

遥亮くんは...好きな人が突然居なくなって...どんな気持ちだったのかな、って...
今でも...その...好き、なの...?

杉野遥亮
杉野遥亮
ん〜...今か〜...
正直考えたこと無かったな、僕も意外とモテるからね?笑
あなた

...ちゃんと答えてよ、

杉野遥亮
杉野遥亮
あはは、ごめんごめん

すると遥亮くんの雰囲気が変わった



杉野遥亮
杉野遥亮
...今でも、その人のことが好きだ
あなた

...!

杉野遥亮
杉野遥亮
ずっとずっと...忘れられない人で...
僕にはきっとその人しかいないと思う
あなた

そんな...人が...

杉野遥亮
杉野遥亮
...でも仕方ない事だったんだよ
事故、なんだし...
あなた

...じゃあ、遥亮くんはその人のことを今でも思い続けてるってこと...?

杉野遥亮
杉野遥亮
まあ...そうなるね笑
向こうが僕のこと気持ち悪がってたりしないといいんだけど笑

ふざけて笑う遥亮くんに

私は何も言ってあげられなかった

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