第7話

すれ違う心①北山→藤ヶ谷side
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2020/06/13 09:55
翌朝ー

北山
うぇ~マジで?ねぇ本当に
藤ヶ谷
あぁ、だから早く準備しろって


(藤ヶ谷が、藤ヶ谷が俺を学校へ連れて行ってくれるって)

俺は、超嬉しくて。

藤ヶ谷
北山、いい?絶対に他の人がいるときには声を出したらダメだからね
北山
分かっているって
藤ヶ谷
姿も、見せたら大変なことになる
北山
うん、ニコッ


胸元のポケット、そこから顔を出し見上げれは大好きな藤ヶ谷の顔が見え。

藤ヶ谷
んっ?


ドキッと胸が高鳴り、そそくさと身を沈めた。

藤ヶ谷
クスッ


(んふっ、太輔の匂いがする)

藤ヶ谷
行ってきまーす
車に気をつけて行くのよ


ガチャ、バタン!

藤ヶ谷
しっかり掴まっていろ走るから


ギュッとしがみつけば自転車は風を切って走り出し「すっげぇ~まるでジェットコースターみたいだ、ひょぇーっ」思わず顔を出したら。

藤ヶ谷
危ないだろバカ


途端に怒られてしまい「うっ、だからってそんなに怒鳴らなくたっていいじゃん」チャリンチャリン、後ろから1台の自転車が追いついて来て隣へと並ぶ。

二階堂
ガヤ


(この声はニカじゃん)

藤ヶ谷
どうした?朝っぱらから
二階堂
ガヤが来るのを待っていた


(お前…)

藤ヶ谷
で、何か用?俺に
二階堂
ミツのことなんだけどさ
藤ヶ谷
‥‥‥
二階堂
一緒に捜して欲しいんだ、ねっ?
いいだろ、お願い
藤ヶ谷
なんで?


が、冷やかな藤ヶ谷の態度に。

二階堂
心配じゃないの?
藤ヶ谷
別に


(くっ…)

二階堂
そう分かった、ガッカリだ前はあんなに仲が良かったのに


「違うんだニカ」黙って、自転車のスピードを上げる藤ヶ谷。

二階堂
ガヤのバカやろ~


ニカの叫び声が後ろで響き渡っていた「ごめん本当にゴメン」真実を話すことが出来ない現状がドッと押し寄せ胸が苦しくなる、それでも今はどうする事もできないと心で呟きながら。







・藤ヶ谷side
藤ヶ谷
北山?


俺はさっきのニカとのやり取りが気に掛かり、こいつに声を掛けてみたんだが。

藤ヶ谷
おはようございます
屋良
おはよう藤ヶ谷


返事はなく…

横尾
太輔、おはよう
藤ヶ谷
おはようワタ
横尾
今日も昼、いつもの所で
藤ヶ谷
あっ、ゴメンこれからは弁当はいいや
横尾
えっ
藤ヶ谷
自分で作ることにした
横尾
そう…なの
藤ヶ谷
それから…


(ごめんワタ、でも北山を護れるのは自分しかいない
だから)

北山
いいのか
藤ヶ谷
んっ?
北山
横尾さん
藤ヶ谷
仕方ないじゃん、一緒に食べたら
バレちゃうかもしれないし


俺らの話を聞いて、北山が口を開く。

北山
んでも、おまえ横尾さんのこと
藤ヶ谷
それよりニカのことなんだけどさ


が、それに触れるとまた黙り込んでしまい「気に
しているんだ…」

玉森
ちょガヤ、ミツがいなくなったこと
なんで言わなかったんだよ
藤ヶ谷
タマ
宮田
ほんと水くさいじゃん
藤ヶ谷
別にわざわざ俺が話すことじゃ、ハッ
玉森
どうかした?
藤ヶ谷
…いや


(そうか北山は俺のことを気にしていたんだ)

河合
先生、来たぜ


(こうやって自分のことで周りに言われたり)

.
きりーつ、きょうつけ礼


(ふだん通りの付き合いができないでいることを)

.
もうすぐ新入生を迎える事となる
先輩として温かく…


(やっぱ連れて来るべきではなかったのか、だけど
独りで家に置いとくのも心配だし)

結局この日、北山はあまり喋らず俺もあえて聞かないでおこうと心に決め1日は終わりを告げた。でも次の日も、そのまた次の日も。

河合
最近、付き合いが悪いぞ太輔
藤ヶ谷
すまない郁人
北山
‥‥‥


キンコンカンコーン、キンコンカンコン!

藤ヶ谷
どうしたの食べないのか?


二人して屋上で、お弁当を食べていたとき。

北山
お前、無理してない?
藤ヶ谷
えっ


そう言った、こいつの表情は暗く。

藤ヶ谷
別に、なんでそんなこと聞くんだよ
北山
だって本当は横尾さんと一緒に
いたいんじゃないの
藤ヶ谷
ワタと?
北山
そう、放課後だって郁人と遊びに
行ったり
藤ヶ谷
お前だって我慢しているんだ俺なんか
北山
違う、そうじゃない


(なに?)

藤ヶ谷
ねぇ何が違うって
北山
もういい


そのまま黙ってしまい…

北山
見てみて、んふふっ


その日の夜。

藤ヶ谷
どうしたの?それ
北山
宮田がくれた服の中にあった
んだ、にゃは


何故だか、ひろはピエロの格好をしていて。

北山
可愛い?俺、ニコッ
藤ヶ谷
うん
北山
そっ、ふっ


(こいつ、何を考えているんだろう?)

北山
太輔、ねぇ太輔ってば
藤ヶ谷
なに?


枕の上で、ポヨーンぽよーんと飛び跳ねている。

北山
笑って、なぁ
藤ヶ谷
ぁ…‥
北山
俺、太輔の笑顔が大好きだからさ


言われて気づく…

(そっか、そういう事だったのかゴメン、そして有り難う)




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