翌日ー
(そっか今日は入学式だったっけ、あいつニカが入って来るんだよな)
本来なら、おめでとうって言ってあげたい。でも…
声を掛けずらいし。
「だったら突っ張んなきゃいいのに素直じゃねんだからさ」(ふっ…)
(ニカ、俺だってお前のこと大好きなんだから)
兄弟のいないひろは、ニカを本当の弟のように可愛がって来た。俺だって…
(ひろ、お前がいない間は俺がこいつの兄貴役をやってやるから安心していな)
ニカの笑いが止まらない、なんでも入学式で一目惚れしたとか。
(ミツの代わり…か、そうかニカもそう思っていてくれてたんだな)
それを知り、嬉しくなる。
すると向こうからやって来た猿?いやゴリラみたいな奴が笑顔で手を振っていて。
(おっ、以外と可愛いじゃん)
(あはっ、なつっこい奴。でも良かった、ひろがいなくなり落ち込んでいたニカもこれで少しは気が晴れるだろうし頼むな健永)
そして俺は、また郁人とワタの3人で、ひろを捜す手掛かりを探るため再び橋本良亮の家へと向かったんだ彼奴が、あそこから消えた要因が何かあるはずと。
・北山side
鼻唄まじりに、掃除をしている塚ちゃん。
(五関とハッシーの関係って?)
(へぇ~俺がニカを可愛がってるのと同じってこと)
1時間後、何故だか俺は塚ちゃんと新宿の街にいた
道端で、ストレッチをしている塚ちゃん。
と、そのとき。
(あら…)
偶然に遭遇したこの二人は路上に座り込み、ぺチャクチャ喋り出して。
退屈だな、そう思っていた俺の眼に宮田のリュックが飛び込んで来る。
(そういえばお腹が空いた、もしかしたらあの中に
何か食いもんでも入ってるかもしれない)
瞬時に身体は動き、モゾモゾ「よいしょっと、わわっ
ズボッ、えっ…」
「うおっ、動く!?つうか真っ暗でよく見えない」
リュックの中へ墜落した俺に気づかず。
(バカ、こいつスキップしているだろ!あわわわっ、普通に歩け)
なーんて、聞こえるわけもなく。
暫くすると、また。
誰かが、こいつの後ろから押してるのかギュウギュウ潰してきて。そんな事が、何度も繰り返され。
やっと静かになり…
(んっ?)
ダダダッ!
(んぎゃあ~走るなぁ歩けこの、とんだ災難だ…)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!