最近、なんだか北山の様子が変だ。
(そりゃ俺ばっか北山のことが好きで、あいつは滝沢くんとか大倉、薮なんかと仲良くしてさ。こっちの気持ち、ぜーんぜん気づいてくれないから)
(あはっ)
すると、ワタが。
昔から俺とは違い交流範囲が広くいろんな人と付き合っていた北山、デビューしてからはさらに範囲を広げ、それに引き替え自分は益々人見知りが激しくなり。
(鏡?)
それは決して大きくはないが、まるで白雪姫に出てくるような。
(ふーん…)
でも俺達は、北山に異変が起きている事までは気づいていなかったんだ「鏡は人の心の裏を映す」奥に秘められた願望は自分だけじゃなかったって事に。
・北山side
ドキドキ、ドキドキ心臓が高鳴る「あぁ~どうしたらいい?」俺は藤ヶ谷と2人っきりになったときの対処法を知らない。
(だって、いつもは誰かしらが傍にいるし)
むかーし昔、まだJr.だった頃2人で出掛けたりしたことはあったけど、あの時はまだ意識していなかったから。
だけど気づけば…
(んっ?帰る…)
その数分後、辺りはシーンと静まり返り「マジでか!?」
慌ててドアを開け、飛び出したら。
(嘘だろ…)
部屋中を探し回ったけど何処にもいなく「ハッ、そうだ洗面台」再び忽然と消えてしまった藤ヶ谷がいた痕跡…(どういうこと?これ)
翌日、俺は意味不明のままフジテレビへと向かい。
んっ?と藤ヶ谷が、こっちを見た。
(つうか横尾さんといたって、じゃ昨日のお前は誰なんだよ?)
が、俺が聞く前に横尾さんから呼び出しを受け楽屋の隅の方へと連れて行かれて。
(ってことは、時々俺んちに現れる藤ヶ谷っていったい?)
・藤ヶ谷side
キスブサの収録前、ワタが北山の様子を伺ってくれた。
(えっ)
「クックックッ」と、意味深に笑うワタ。
そんな俺とワタのやり取りを楽屋の隅で、チラチラと見ている北山。
(俺が一歩、前へ踏み出せば何かが変わるのか?)
それからワタとタマの3人で会った時にもそう言われ、しかし「長い付き合いだからこそ、きっかけがなかなか掴めなくて難しい」そう思っていた矢先のことだった。
「えっ」それは、たまたま某雑誌社へ撮影のために行ったとき。
偶然にも、あいつが先に来ていたらしく。
その日、俺は北山のマンションで信じられない光景を目の当たりにする事となる。
鏡に向かって話す…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!