第31話

もう1つの世界③北山→藤ヶ谷side
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2020/06/25 06:28
(うっわ、ない携帯かない、マジでか!?)

藤ヶ谷
忘れて来たの?そそっかしいなぁ
北山
うっせーわ藤ヶ谷


(えっ、藤ヶ谷?)

藤ヶ谷
北山ってさ、しっかりしているようで意外と抜けているんだよね
北山
はっ?つうか、いつの間に
藤ヶ谷
なに言っているの、一緒に暮らして
いるんだから居て当たり前でしょ


(頭が痛くなってきた…)

と、そのときピンポーンとチャイムが鳴り「んっ?誰か来たぞ」とっとっとっとインターホンを覗けば。

(えっ、えぇーっ!?こっちも藤ヶ谷、あっちも藤ヶ谷
わわわわっ、俺、頭がおかしくなっちゃったのかな)

北山
横尾さーん


思わず、そう呼ぶと。

横尾
はーい、どうしたの?ミツ
北山
げっ


ピンポーン、ピンポーン!

「はいはい今、開けますよ」っとばかりに突如現れた横尾さんが、ガチャ!

藤ヶ谷
遅い何をやっていたんだよ北山
北山
ぁ…あぁ~いらっしゃい
藤ヶ谷
んっ?


(こいつは本物?だったら、さっきまでいた藤ヶ谷は誰?横尾さんは何処いずこに)

藤ヶ谷
あがってもいい?
北山
どう…ぞ


小首を傾げつつ中へと入った藤ヶ谷のあとへ続く俺

藤ヶ谷
へぇ~これがワタの言ってた鏡か


(鏡?なんのこと、それより横尾さん…)

藤ヶ谷
北山、今日スマホを忘れてったでしょ


(あっ、いた藤ヶ谷の後ろに)

藤ヶ谷
俺、あのあと撮影に入って


(なにやっているんで?あんな所で)

藤ヶ谷
預かってきたよ、ほら


何故だか俺の方へ手招きしている。

藤ヶ谷
北山?
北山
来いってか、うん分かった


と、突き進んだ次の瞬間にドサッと。

藤ヶ谷
わっ、なに!?
北山
えっ


俺は藤ヶ谷を押し倒してしまい数センチとない互いの顔。

北山
うわっ


現実に引き戻された、その背中へグイッと回された藤ヶ谷の手。そのままクルッと向きを変えられて…

(なっ!?)

藤ヶ谷
ちゅっ
北山
んっ


キュンと心が、切なく震えた。





・藤ヶ谷side

北山のマンションへ行ったら、なかなか出て来なく
ガチャ!

藤ヶ谷
遅い何をやっていたんだよ北山
北山
ぁ…あぁ~いらっしゃい
藤ヶ谷
んっ?


何故だか、キョドった感じの姿に疑問を抱きつつ。

藤ヶ谷
あがってもいい?
北山
どう…ぞ


中へと入れば…

藤ヶ谷
へぇ~これがワタの言ってた鏡か


確かに、そこには鏡があって。

藤ヶ谷
北山、今日スマホを忘れてったでしょ


だけど、こいつの視線は何でだがジーッと鏡の方を見つめ。

藤ヶ谷
俺、あのあと撮影に入って


(どうしたんだろ?そう思っていると)

藤ヶ谷
預かってきたよ、ほら


まるで俺の姿が見えてない様子で差し出したスマホを見ようともせず。

藤ヶ谷
北山?


突然…

北山
来いってか、うん分かった


「はっ?ちょ、いきなりなんなんだよ」ドサッと、倒れ込んだソファーの上。

藤ヶ谷
わっ、なに!?
北山
えっ


目の前に数センチとない距離にある北山の唇「マズい…」そう思うのと同時に背中へ手を回し、クルッと向きを変え。

藤ヶ谷
ちゅっ
北山
んっ


俺は、行動を起こしてしまっていたんだ。

北山
なっ、なっなっ


(あぁ~ハハッ、やってしまった、どうしよう…)

北山
今、チュッてしたかチュッて


(はいはいキスしましたよ、そんなに何回も言うことじゃないでしょ)

北山
またか
藤ヶ谷
何を言っているの?お前


ところが、北山は。

北山
この間から、そうやって不意打ちに
キスしやがってよ
藤ヶ谷
はあっ?俺がしたのは今が初めて
北山
嘘つけ
藤ヶ谷
嘘なんかついてない、だいいち俺以外の誰とキスしたんだよ


グイッと胸ぐらを掴んだら驚いた顔をし俺を見つめ

北山
おっ、俺は…お前以外のやつと
したりなんか


カァーッと耳まで顔を赤くし俯く北山「絶対なにかある」そう確信した俺は。

藤ヶ谷
話してみ?ここ数日間で何が
あったのか


その問いにポツリポツリと話してくれる、しかし
それは。

藤ヶ谷
なっ!?


摩訶不思議な出来事の連続だったんだ、全ては鏡を手に入れたその日から始まっていた。

藤ヶ谷
話しは分かった、でも俺は今日ここへ来るまでお前とは別の場所にいたよ
北山
じゃ、あれは
藤ヶ谷
それと


さっき誰に話しかけていたの?そう聞けば、小さな声で。

北山
横尾…さん
藤ヶ谷
はっ?ワタなんかいなかったでしょ
この部屋に
北山
いたんだよ、あそこに今だってほら


北山が指差した場所、そこには例の鏡があって。

藤ヶ谷
横尾さん藤ヶ谷に言ってやって俺
嘘なんかついてないって


(まさか)

北山
横尾さん!
藤ヶ谷
北山、俺を見て!ねっ
北山
えっ、何処へ行くの横尾さーん
藤ヶ谷
北山!


ギュッと叫ぶ、こいつを腕の中へ抱きしめた。

藤ヶ谷
しっかりしろ
北山
藤…ヶ谷


それから、ゆっくりと身体を離し見つめながら問い掛ける。

藤ヶ谷
今、目の前にいるのは誰?
北山
藤…ヶ谷‥俺の‥シンメ
藤ヶ谷
そう俺、お前のシンメ


ニコッと微笑めば、ニコッと微笑み返してくれ。

藤ヶ谷
ねぇ、あの鏡って
北山
鏡?
藤ヶ谷
ワタが言ってた日本人妻のロケで北山が見つけて来たものだよね


そう言うと、んーっと考え込む仕草をし次の瞬間!

北山
あぁーっ
藤ヶ谷
なっ、なに!?
北山
思い出した
藤ヶ谷
何を?
北山
俺ね


ペラペラ、ペラペラ、怒涛の如く喋り出す北山。

(えっ、なにそれ?じゃ全ては鏡の仕業だっていうの北山がおかしくなったのも今、俺がこいつの家にいるのも)