第27話

告白、そして④藤ヶ谷→北山side
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2020/06/24 01:00
宮田
タマが、タマがいないんだぁ~
ううっ、うっ、ヒクッ
藤ヶ谷
ちょ、泣くなって
北山
とにかく中へ入れよ


バタン!

藤ヶ谷
いつから?
宮田
ふえっ、グスン


が、聞いて驚いてしまう。

北山
夏祭りの前だって!?
藤ヶ谷
だから、お前らいなかったってわけか
宮田
ガヤさーん、キタミツうぅ、タマどこへ行っちゃったんだと思う、ヒクッ
北山
まさか俺と同じで小さくなっちゃったとか


(いやいや、そんなこと)

宮田
そう言えば
藤ヶ谷
んっ?なに
宮田
キタミツいつの間にデカくなったんだ
北山
えっ
藤ヶ谷
今さら?


(あっ…そうか、こいつ会っていなかったから)

藤ヶ谷
この間の夏祭りの日に


俺は、ひろが元に戻った経過をみやに説明しつつ。

藤ヶ谷
ワタの所へ行ってみよう何か知って
いるかもしれない
北山
そうだな
宮田
うっ、ヒクツ
藤ヶ谷
大丈夫だって、きっとすぐ見つかる
北山
んだんだ


それから俺達は…

横尾
うわっ、お前らどうして!?
藤ヶ谷
ちょっと話しがあってさ


何故だか、慌てふためいているワタ。

横尾
来るなら来るって前もって連絡
入れてよ
藤ヶ谷
なに?いつもの事じゃん


(変なワタ…)

藤ヶ谷
あがるよ
横尾
太輔!
北山
おっじゃましまーす


が、そこで目にしたものは。

北山
うえっ、なんだわこれ!?
宮田
模型のハウス?


ちゃんと庭や池、道など小さな街が存在し。

北山
横尾さんって、こういった趣味
があったんだ
横尾
あ、いや、その、ハハッ


(全てがミニチュア、はっ、まさか本当に)

藤ヶ谷
ワタ、これ


(俺には分かる、小さくなったひろと暮らして来た
自分だからこそ)

そして深呼吸をし、ゆっくりと言葉を吐いた。

藤ヶ谷
タマ、出て来いよ






・北山side

(えっ…)

太輔の言葉に、息を呑む俺と宮田「マジで?」すると小さな家から観念したかのようにおずおずとその姿を現す。
北山
うわっ
宮田
可愛いーっ
玉森
寄るな!
宮田
怒鳴っても怖くないもんねぇ~
んふふっ
藤ヶ谷
どういうこと?ワタ


それは、夏祭りの数日前。

横尾
とつぜん現れて、もうビックリしたのなんの
玉森
ごめん…
藤ヶ谷
なら、どうしてすぐに
玉森
ミツのこともあったし


何よりも、宮田には。

玉森
知られたくなかったから


デヘヘヘッと、鼻の下を長く伸ばしニヤついている宮田「なるほど確かに分かる気がする」

玉森
とにかく俺はここにいる
宮田
えぇ~どうして?
玉森
絶対にお前のところへは行かないから
宮田
タマあぁーっ
玉森
い・や・だ!
横尾
ははつ…


そのやり取りを苦笑いしつつ見つめている横尾さん

藤ヶ谷
帰ろうか、ふっ
北山
んだな、クスッ
藤ヶ谷
後は任せたワタ
横尾
ちょ、太輔
北山
じゃ~ね横尾さん
横尾
ミツも


ガチャ!

横尾
二人とも待ってって、なぁ~待って


バタン、世の中には常識では考えられない不可思議なことがある。

藤ヶ谷
さてと俺達は
北山
んっ?
藤ヶ谷
さっきの続きでもしようか、ニヤッ
北山
いっ、ギクッ


でもどんなことにも意味がある、そう思えるのは。

北山
おっ、俺は
藤ヶ谷
だーめ、観念しなさい
北山
太輔!
藤ヶ谷
ひろはもう俺のだって決まって
いるんだからね


大好きな太輔が、今もこうして傍にいるから。

北山
太輔、太輔、心臓が壊れちゃうってば


きっと俺達は、これからもずっと。

藤ヶ谷
ひろ、愛しているよ
北山
んっ、太輔


ラブラブでいられると信じる事ができるんだ、だってこの数ヶ月間、俺は沢山の愛を太輔からもらったから。

しかし…

藤ヶ谷
もーどうして逃げるんだよぉ


それとこれとは話が別で。

北山
だってぇ~いきなり過ぎるんだもん
藤ヶ谷
じゃさ途中までならいい?ねっ
北山
考えとく
藤ヶ谷
はっ?
北山
ガハハハッ


笑って誤魔化す俺と、キョトンとした顔の太輔。

横尾
それで俺に電話をしてきたってわけ?
藤ヶ谷
そう、ワタぁ~
横尾
情けない声を出さないで、こっちは
こっちで大変なんだから


その向こうでは…

宮田
ターマ~何処に隠れたのぉ出て来て
お願~い
玉森
やぁ~だよぉーだ、アッカンベぇ
横尾
俺はね、お前たちの面倒をみる為に
いるわけじゃないんだよ
藤ヶ谷
そうだけどさぁ


(ごめんね横尾さん、ハハッ)

それから、結局はキス止まりの俺にブツブツ文句を言いながら太輔は。

藤ヶ谷
ひろがいいって言うまで我慢する
北山
本当に?
藤ヶ谷
一応は
北山
なんで一応がつくんだよ?
藤ヶ谷
でも、あまり長く待てる自信は
ないからね
北山
んっ?
藤ヶ谷
そのうちに襲っちゃうかもしれないよ
北山
はあっ?
藤ヶ谷
あはははっ


「そしたら、また小さくなるからいいや」そう言うと、もう勘弁してと太輔は言った。

藤ヶ谷
だって、やっぱりこうして抱きしめていたいもん


ギュッと抱きしめられた腕の中「んふふっ、あったかい」

北山
俺も、ニコッ
藤ヶ谷
んふっ


見つめ合う瞳に映る互いの笑顔、そしてその先には未来が…ドタドタドタッ!

宮田
ガヤさんキタミツうぅ~なんとかして


(あっ、宮田だ。あいつ、らちがあかなくなってこっちに助けを求めて来たな)

藤ヶ谷
も~う知らないよ自分で何とかすれば
宮田
そんなこと言わないでガヤさーん


(ガハハハッ、世の中は平和だな小さくなったのは
きっと俺達が自分の気持ちを相手にちゃんと伝え
られなかったせい、だからきっとタマも…)

神様の悪戯、本当にそうなんだと思う。

俺達は、これからもずっと一緒にいようと誓い合った喜びも悲しみも全てを分け合って。





終わりー

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