丈一郎 Side
「 なー、あなた。どうしたんや 」
連日続くダンス練習。
みんなどんどんダンスを完成させていく中で、
誰よりも時間がかかってるあなた。
『 なんか覚え悪くなったみたい笑 』
「 なに言ってるねん、俺が教えてあげるから、ほら!
この藤原丈一郎に言ってみ?どこがわからん? 」
『 丈くんその言い方なんかむかつく笑
大吾に教えて貰ってるから間に合ってます~笑 』
死んでも丈くんには教えて貰えへんー!
って笑って、また鏡の前に立つ
痩せた、な。
「 明日の収録 、ファンの皆と楽しもな 」
『 もちろんやん~ 丈くん 、バカなことせんといてよ 』
踊ろ、そう呟いて音楽を流す。
儚い。
薄い。
消えそう。
今のあなたはその言葉がとても似合う。
色白だったのにもっと白くなって、
ひょろひょろだったのがもっとひょろひょろになって
たまにメンバーを見る目が悲しそうで
「 何かあった? 」その一言が、たったその一言が
喉の奥で突っかかって声にならない。
俺、頼りないかな。あなた、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!