「 おぉ!あなたちゃん!体どう? 」
テレビ局でそう聞かれたけど、だれだっけ、この人
『 おかげさまで…笑 』
「 なんだよ、敬語なんか使って笑笑
少し会わないうちに一気に人見知りになったんか? 」
『 いや…笑 じゃあ準備行ってくる! 』
誰?誰やっけ?
なんの人?どこの人?
どこかのグループ?局の人?
『 だめだ、 』
わからない、思い出せない。
少しずつ確実に割れていく、私の記憶の受け皿。
「 どしたんすか?怖い顔して 」
『 恭平… 』
『 さっき男の人に話しかけられたんやけど、誰かわからんくて 』
「 んー、どんな人っすか? 」
『 えっとねー、 』
あれ、どんな人やった?
さっきどんな人に話しかけられたんやった?
顔は?服は?髪型は?
「 あなたちゃん…? 」
『 ごめん、忘れた 』
「 そうっすか、大丈夫ですよ 」
そういって肩を抱いてくれる。
『 さっきのことやのに… 』
「 大丈夫。また思い出したら言って下さいね? 」
だめやなぁ、
こんな風にメンバーのことも忘れていくと思うと
怖くてしょうがなかった
『 恭平、 』
「 ん? 」
『 私がもし恭平達のこと忘れたら、
その時は…やめさせてな、 』
「 忘れないから大丈夫ですよ 」
そう言ってくれる恭平の瞳は揺れていた。
はっすんによると、さっき声をかけられた人は
なにわ男子がよくお世話になってる雑誌の
インタビュアーさんだったらしい、
大事な人を忘れていく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。