恭平 Side
俺の方に向かってくるあなたちゃんを、
両腕で抱きとめる。
「 何してるんすかあなたちゃん、 」
『 恭平いい匂いする~ 』
ふわふわ、ふわふわ、
前に戻ったみたいな喋り方
最近は何かに追われたように、何かに怯えるみたいに
なんでも急かせかして早口で。
発する言葉にもトゲがあって、弱い俺はそれに傷ついて
「 機嫌直ったんすか?笑 」
『 体が軽いねん笑笑 』
あぁ、右半身の事か
「 ステージパワーですね、きっと 」
気づかないようにしとったけど
きっと体調はずっと良くなくて何かを隠してるのも体の事で
それを問い詰めてどうなる問題でもないから
俺は知らないふりしてたけど
きっと、流星くんが初めに気づいてた
振り入れも、ずーっとあなたちゃんのこと見てて、
覚えが一気に悪くなったあなたちゃんを心配してたけど
機嫌が悪いからそばに行けなくて
俺はそんな流星くんを見て気づいてた
「 無理せんといてくださいね? 」
『 してないよ、 』
「 なんでも言ってくださいよ? 」
『 それはまた後でな、笑 』
ほら、大事なとこはそうやってはぐらかすんやから
『 恭平、好きやで、 』
そう言って俺を抱きしめて
『 いつまでもイケメンでおってや?笑 』
俺の手をぎゅっと握って、また離れて行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!