第32話

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2020/05/04 01:03
謙杜 Side




あなたちゃん?


あなたちゃんは今、なんで泣いてるん?





何かを振り切ったようにすっごい笑顔で泣くから


つられてちょっと僕も泣いちゃって







「 あなたちゃん? 」




バチって目があったかと思うと、


僕を両腕で抱きしめて


僕の首元にあなたちゃんが顔を埋める








僕よりも背の小さいあなたちゃんは


僕を離すと、左耳のイヤモニをはずして


僕を見つめて微笑んだ。










『 大きくなったね、 』








金と銀の紙吹雪が舞う中、

スローモーションのように聞こえたあなたちゃんの声


たったそれだけやのに、涙が溢れたのはなんでやろう






ファンの前だと言うことも忘れて、

みっちーのとこに行こうとする

あなたちゃんの左手を引っ張った。





『 謙杜? 』



「 やだよ、あなたちゃん、 」







ただの怪我じゃないんやろ?


簡単な怪我じゃないんやろ?


それぐらい分かるよ、






「 いやや、あなたちゃん、だめですよ 」




『 …なに言ってるん笑 』




「 僕、あなたちゃんのこと大好きです、 」




『 私も謙杜のこと大好きだよ 』








泣かんといてよ、って僕の頭をポンポンして


ほら、前向いてって笑って


みっちーと流星くんのところへ行った。

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