第20話

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2020/05/09 23:11
大吾 Side





「 もー、あなたそこじゃないって、 」


『 っごめん、どこやっけ、 」





こーこ、って手を引いてあなたを移動させる


はっすんの手には、少し力が入ってた。







何度も何度も通して


みんなでピッタリ揃うように繰り返し、繰り返し






「 あなたちゃん、右!右!」




長尾が間違ってるあなたの立ち位置を


教えてあげて、あなたはごめんって正しい位置へつく






「 ちょっと止めてください、 」




曲中で丈くんが突然、音を止めた。





「 あなた、ちょっといい? 」


『 …はい 』


「 俺お前が一生懸命やってるの見てきてるけど

最近色々間違えすぎやし、忘れすぎ。不注意 」



『 はい、 』


「 なんかあった? 」


『 いや、特には 』






どうしよ、と俺をチラッと見てそのまま俯いてしまった








「 俺も、俺も思ってました

あなたちゃん最近変ですよ 」






道枝も、丈くんに連なって声を上げる





『 ごめん、 』


「 ごめんじゃないですよ 」


『 わかってる、 』



「 わかってるなら言ってくださいよ! 」


「 やめ、みっちー 」





流星が、思わずあなたの肩を掴んだ道枝を引き離した

流星は悲しそうな目であなたを見る








「 僕にも言えないことなん? 」


『 … 』


「 大ちゃんは知ってるんやろ? 」








急に振られて、戸惑った。




『 大吾は知らんよ 』





俺が開きかけた口を、あなたの強い声が閉じさせる。






『 ごめん、皆には関係ないことやから 』








そう言って、あなたはリハ場を出た。

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