第67話

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2020/04/15 00:54
丈一郎 Side




昨日の今日だったから心配で

自分のオープニング撮影が終わってから、

マネージャーにあなたの現場に連れてきて貰った







波打ち際で、車椅子に乗って海の向こうを見てて。


はいっ、って監督が言った瞬間、

モニターの向こうのあなたが、

ぽろっと涙をこぼした。






「 おぉー、完璧だね 」



監督がそう言ってカットの声がかかる。





へへってわらったあなたは涙を拭いて

スタッフさんに車椅子を押してもらって戻ってきた





『 お、丈くん! 』




「 順調? 」




『 もちろん〜笑



丈くん、今日オフなん? 』




朝、みんなで家出たやん…




「 今日は皆ツアーのオープニング撮影やで

場所バラバラやけど笑 」



『 丈くんはどこで撮ったの? 』



「 スタジオやった。

コンセプトが今いち掴まれへんかったわ笑 」





あかんやん、ってあなたが笑う。













『 最後の撮影かもなー、 』





「 え? 」





『 ほら、入院したらさ今よりも病気進行するやろうし、

たぶん最後なんやろうなぁって 』





「 オリジナルのROTでも撮ればええやん 」




『 あは、ドキュメンタリー? 』




「 よくない?笑 」






本気でいいと思う、ドキュメンタリー。





あなたが頑張ってる姿見て貰おうや、







「 あなた、病名公表せーへん? 」




『 なんで? 』



「 世界にはあなたと同じような人が

少なからずいるねんで。

諦めないで一生懸命頑張ってる姿見たら

みんな勇気付けられると思う 」




本気で言ってる?って

俺の目の深いところを見つめてくる。





「 やろうや、あなたは生きてるんやで?


入院して病気の進行のこと考えて暮らすより


入院しても人に希望を与えられることを選ぼうや 」






カメラの前で自分を見せるの嫌いじゃないやろ?




そこまで言って畳み掛ける。




この仕事が大好きな子やから。








「 歌だって歌えばいい。


編集だって俺達がお安い御用でやるし 」



















『 いいん? 』








少し、希望が見えた

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