駿佑 Side
「 なに、これ 」
部屋に足を踏み入れ、呆然とする。
あなたちゃんの体には数本の管が繋がれていて
カニューレもつけていた。
「 なに?これ 」
ドッキリで皆来たのに
逆に驚いて何も声にならない。
______ ガラガラ
開いたドア。
部屋を覗いて、少し戸惑いを見せる大吾くん。
はぁ、と息を吐いて、
あなたちゃんのそばに行く。
肩をトントン、と叩いて
耳元で大吾くんが名前を呼べば、
その長い睫毛が動いてその目が大吾くんを捉えた。
『 ん…おそい、 』
ごめんごめん、ってあなたちゃんの頭を撫でる。
その光景を見つめることしかできない僕達
______ コンコン
ノックが聞こえたと思ったら、
先生が入ってきて。
「 わ、みなさんお揃いで 」
なんてふわりと笑って
僕の隣をすり抜けて、ベッドの側へ。
「 あ、起きてるの? 」
『 大吾が、起こしてくれた、 』
「 そっか 」
そう言いながら胸元に聴診器をあて、少しだけ険しい顔
「 あの、これってどういう、 」
耐えきれずに声を出した流星くん
どうぞ、おかけください、と先生に言われ
それぞれ、近くのソファーやら椅子やらに座る。
「 実は、2日ほど前から急激に体調が悪化して
ずっと寝ているような状態が続いています 」
「 そんな、 」
「 風邪を引いてしまって気管が狭くなり
息苦しさも感じているようなので
昨日から酸素マスクを着用しました 」
酸素濃度をコントロールするためにモニターもつけてます
って心電図モニターを見せて貰いながら説明される。
「 ここの数値が、95以上であれば正常です。
今92とかなので苦しいかもしれませんね 」
急に、死を
まだ遠いと思い込んでいた別れを唐突に突きつけられた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。