第57話

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2020/05/04 01:28






『 はぁ、 』





やっと1人。


スケジュールを3つこなして、やっと1人になれた。






今日、本当なら3本全部踊る予定やった。



1本目の収録で、出来損ない私の体が力尽きて

私のダンス人生はほぼ終わった。



人の助けを借りなきゃ歩けない体になった。





完全に硬直してるわけじゃない。

でも、自分で歩くことが難しい

左手を支えにして、手すりを使えば

"移動"ぐらいできる





なんか、もう

なんも思わなくなった



受け入れた私の人生を。





『 あ、そういえば 』



この前、丈くんが言ってたこと



" 少年たちでさ、Bring it on 踊ったやん "





覚えてなかった、本当は




話に合わせただけ






もうこれ以上、

丈くんの悲しむ顔は見たくなかった。







『 ほんまや、 』


調べたら、その動画が出てきた





『 踊ってる、 』






両足で立って、

ちゃんと右手も力が入ってて

流星に「 指先まで繊細やなぁ 」って

踊るたび言ってもらってた記憶がある。



私自身も大好きな踊り方をしてる私が、画面の中にいた







たった数ヶ月で私の病気は進行して

今じゃもう踊ること、立ってちゃんと歩くことすらまもとにできない









『 なんで…なんで、 』









画面の中の私に嫉妬して

画面の中の私を恨んで






『 なんで私なん、 』




『 なんで私からダンスを奪うん、 』









決壊した感情は止まることを知らない。







机の上に置かれた鏡に映る私の顔が酷くやつれてて








『 こんなの私やない!!!!! 』









_________ ガシャン !!



















鏡は粉々に割れた











まだ鏡を破る力はあるんや、





妙に冷静になって

そのまま少年たちのBring it on を見続けた。

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