和也 Side
「 うわっ、 」
後ろに誰か乗ったと思えば、
耳元で聞こえる『 あなただよーん 』って言う笑い声
「 あなた、笑 」
あなたがひさびさに名前で自分のことを呼んだ
いつもは"私"だからなんか新鮮
「 立ち位置全然違うやん笑 」
『 いいねん笑 』
笑ってる、な。
『 はっすん? 』
「 ん? 」
『 リーダー大変やろ? 』
「 いや? 」
『 頼っていいんやで 』
それはあなたもな。
謙杜達も成長したよ、って
嬉しそうに高校生組を眺める
さっきからいろんな人を泣かしてるのは
気づいてたけど
会話は聞こえてないはずやのに
ファンの皆もなんか泣いてもうてるし
「 みてみ?ファンの子達泣いてるで? 」
『 あぁぁぁあ、泣かんといて〜! 』
ちょうど目の前で泣いてたファンの子に
俺の肩越しに泣かんといて!って口パクしてる笑
『 ねぇはっすん?感謝してるよ、私 』
「 ん? 」
『 私たちをここまで導いてくれたこと、
ほんとに感謝してる。ありがとね 』
次はデビューやなぁ、って遠い目をして優しく微笑む
『 私の大事ななにわ男子やもん、絶対できる! 』
「 当たり前やん、
でもこれはあなたのボーカル力にもかかってるで笑 」
『 うるさいなぁ~、絶対一発オッケー出すし!笑 』
そう笑って俺の背中から
前みたいに、俺らが気まずくなる前のように、
ぴょんって飛び降りた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。