第34話

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2020/05/04 01:08
和也 Side



「 うわっ、 」





後ろに誰か乗ったと思えば、


耳元で聞こえる『 あなただよーん 』って言う笑い声





「 あなた、笑 」




あなたがひさびさに名前で自分のことを呼んだ


いつもは"私"だからなんか新鮮





「 立ち位置全然違うやん笑 」




『 いいねん笑 』





笑ってる、な。








『 はっすん? 』



「 ん? 」




『 リーダー大変やろ? 』




「 いや? 」




『 頼っていいんやで 』






それはあなたもな。






謙杜達も成長したよ、って


嬉しそうに高校生組を眺める






さっきからいろんな人を泣かしてるのは

気づいてたけど







会話は聞こえてないはずやのに


ファンの皆もなんか泣いてもうてるし







「 みてみ?ファンの子達泣いてるで? 」






『 あぁぁぁあ、泣かんといて〜! 』






ちょうど目の前で泣いてたファンの子に

俺の肩越しに泣かんといて!って口パクしてる笑









『 ねぇはっすん?感謝してるよ、私 』




「 ん? 」




『 私たちをここまで導いてくれたこと、

ほんとに感謝してる。ありがとね 』






次はデビューやなぁ、って遠い目をして優しく微笑む






『 私の大事ななにわ男子やもん、絶対できる! 』






「 当たり前やん、

でもこれはあなたのボーカル力にもかかってるで笑 」




『 うるさいなぁ~、絶対一発オッケー出すし!笑 』






そう笑って俺の背中から

前みたいに、俺らが気まずくなる前のように、

ぴょんって飛び降りた。

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