謙杜 Side
『 あ、謙杜おはよ〜 』
「 おはよ、 」
『 卵焼き作ったで~ 』
「 あなたちゃんが料理とか珍しいっすね笑 」
卵焼きの作り方を忘れてない、僕のことを忘れてない、
それだけで安心する。
いただきまーすって、
卵焼きを一番はじめに口に入れた
「 おいしい!! 」
『 せやろ?笑 』
ケラケラ笑って楽しそう。
「 え、あなたちゃんが作ったの?俺も食べる! 」
パタパタ走ってきたみっちーが
俺の箸ごとつかんで自分の口の中に入れた。
「 んわ!!うまっ!!
やっぱり俺らのあなたちゃんは天才やわ!笑」
『 ありがと笑 』
そのあとみんな集まってきて
あなたちゃんは7人分卵焼きを作って。
みんなに絶賛されて、嬉しそうなあなたちゃんを見て
僕も嬉しかった。
『 あのさ、みんなに報告があって… 』
リビングで男7人が構える。
またなんか悪いことじゃないかって
『 車椅子、使うことにした 』
「 …… 」
『 仕事の時…ファンの前に出る時は使わないけど、
座ってできる仕事は出来るだけ座ってやろうと思う 』
「 わかった 」
大橋くんがニコって笑う。
「 あなたがいいと思うようにやればいい
俺たちはそれを支えるし 」
「 あなたちゃんがやりやすいように僕も頑張ります 」
『 ありがとね、謙杜 』
ほんわかした雰囲気が漂って、
「 じゃあ、今日の収録いくか! 」
丈くんの声で今日の仕事が始まる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。