大吾 Side
辞めるつもりやったのかなんなのか
まるで最後の挨拶のように聞こえたあの言葉の真意は
知らない方がいいと思った
「 寄り添うって、大切よな 」
「 なに、丈くん 」
珍しく俺の部屋に転がり込んできた丈くんが
突然思い出したようにぽつりと呟いた。
「 俺、あなたが隠してるやつさ
悪い事やとおもって、初めは腹たってたんやけど、
今日のあれ、なんかな、 」
「 …気づいてるやろ? 」
「 まぁ、な 」
「 知らないふりしてあげて、 」
「 俺も支えるわ、最年長やし 」
あーー、ってベッドに倒れこんで、
顔を布団にスリスリする。
「 丈くん、スリスリすんのまじでやめて 」
「 大吾、俺あなたにさぁ、そのままでいてって言われてん 」
「 そうなんや 」
「 俺、このままでいてあなたの力になれるんかな 」
「 むしろ、今の丈くんやからあなたの力になれるんやないん?
いつも一緒にふざけてくれて、
でもいつもメンバーのこと気にかけてくれて
そういうところが好きなんちゃうん? 」
「 なんやねん、照れるわ笑 」
「 俺も丈くんの事、頼りにしてるから 」
最後はちゃんと顔を見て伝えられなかったけど
今、言っておくべきやと思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!