丈一郎 Side
FC動画を配信してから3日後
事前収録の現場
「 大丈夫か?」
『 ん、今日は行けそう 』
ちゃんと立って、
不自由ながらも2facedを踊るあなた
『 最近わりと激しめな曲ばっかなのなんで?笑 』
「 知らんわ笑 」
ウケるんだけどって笑う。
最近よく笑う。
何かを忘れていってるっていう事もあんまり実感しなくなった
「 スタンバイおねがいしまーす 」
『 はーい、 』
「 あなたちゃん、乗ります? 」
謙杜が車椅子をあなたの近くに持ってくる。
『 いや、歩くわ。ありがとね 』
スッ、と立ち上がった。
けど、その手は目頭を押さえてフラフラ危なっかしい。
「 あなたちゃん? 」
謙杜が異変に気付いてあなたの肩を持つ
『 ごめんごめん、立ちくらみ 』
腰を思わず抱いた俺の手を制して、
大丈夫。行こ、って前を向いた。
無事に何事もなく終わりますように
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!