駿佑 Side
「 おはよーございます、 」
用意してもらった簡易ベッドで
迎えるはずだった朝。
寝ぼけていたのか、いつのまにか
ベッドサイドに座ったまま、
あなたちゃんのベッドに頭を乗せて手を握って寝てた
あなたちゃんの耳元で呟いて、
ぼーっとその顔を見つめる。
『 、ん 』
「 あなたちゃん、 」
こほっ、と軽く咳をするから、
肩をさすりながら大丈夫ですか?と問いかけた。
「 どうしたん、 」
「 あ、大吾くん 」
「 なんかあった? 」
目をこすりながら、
あなたちゃんの頬に手を当てる大吾くん
「 いや、ちょっとむせてたんで、 」
「 あなた、起きて 」
「 あなたちゃん~ 」
2人で名前を呼んで、
その深い深い意識をこっちへ戻す。
『 、大吾 、みっちー、 』
「 ん、おはよう 」
少しだけ安堵の表情を浮かべた大吾くん
『 みっちー、 』
「 はい? 」
手、と消え入りそうな声で呟くから。
その手を取って、ぎゅっと握りしめると
ポロっと涙を流した。
「 どうしました、? 」
『 怖い、 』
「 え? 」
『 目、つぶったら、
起きれないんやないかな、って思う、 』
やめて、
『 怖い、 』
「 大丈夫、大丈夫です、 」
大丈夫なんて、
無責任な言葉が口から出てくる。
「 あなたちゃん。
僕らはずっとそばにいます。
だから、今はゆっくり休んでください。
またすぐ元気になれます 」
道枝、2人起こせ、って大吾くんが言うから
長尾と流星くんの肩を揺すって、
あなたちゃんが起きたよ、って叩く。
「 あなたちゃん〜 」
『 謙杜、 』
「 風邪、早く治してください 」
『 おはようの前にそれなん、笑 』
「 よかった… 」
目をうるうるさせた流星くんが
ベッドの上のあなたちゃんを抱きしめて
『 流星、ちょっと力強い、 』
やめてー、って引き離すと、ふふって笑った。
朝の回診で先生に言われた。
「 とりあえず、山は超えましたね、 」と。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。