第74話

73
5,731
2020/04/15 13:00
駿佑 Side




「 おはよーございます、 」





用意してもらった簡易ベッドで

迎えるはずだった朝。






寝ぼけていたのか、いつのまにか

ベッドサイドに座ったまま、

あなたちゃんのベッドに頭を乗せて手を握って寝てた





あなたちゃんの耳元で呟いて、

ぼーっとその顔を見つめる。










『 、ん 』





「 あなたちゃん、 」




こほっ、と軽く咳をするから、

肩をさすりながら大丈夫ですか?と問いかけた。






「 どうしたん、 」






「 あ、大吾くん 」






「 なんかあった? 」




目をこすりながら、

あなたちゃんの頬に手を当てる大吾くん





「 いや、ちょっとむせてたんで、 」





「 あなた、起きて 」




「 あなたちゃん~ 」





2人で名前を呼んで、

その深い深い意識をこっちへ戻す。






『 、大吾 、みっちー、 』




「 ん、おはよう 」




少しだけ安堵の表情を浮かべた大吾くん


















『 みっちー、 』





「 はい? 」














手、と消え入りそうな声で呟くから。






その手を取って、ぎゅっと握りしめると

ポロっと涙を流した。











「 どうしました、? 」













『 怖い、 』






「 え? 」






『 目、つぶったら、

起きれないんやないかな、って思う、 』














やめて、

















『 怖い、 』


















「 大丈夫、大丈夫です、 」















大丈夫なんて、

無責任な言葉が口から出てくる。














「 あなたちゃん。

僕らはずっとそばにいます。

だから、今はゆっくり休んでください。


またすぐ元気になれます 」






道枝、2人起こせ、って大吾くんが言うから

長尾と流星くんの肩を揺すって、

あなたちゃんが起きたよ、って叩く。






「 あなたちゃん〜 」





『 謙杜、 』













「 風邪、早く治してください 」





『 おはようの前にそれなん、笑 』













「 よかった… 」




目をうるうるさせた流星くんが

ベッドの上のあなたちゃんを抱きしめて











『 流星、ちょっと力強い、 』













やめてー、って引き離すと、ふふって笑った。


















朝の回診で先生に言われた。




「 とりあえず、山は超えましたね、 」と。

プリ小説オーディオドラマ