第7話

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2018/07/30 11:09

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この一週間、私は訴え続けた。




違う場所で会おうって言っても
アヨンは首を縦に振ってくれなくて




ミスこそしなかったけど




仕事中まで考えちゃって上の空だった。




「....はぁ、」




....めっちゃ憂鬱。




あのクラブで出会ったから、
あそこで会いたいって言うアヨン。




それもわからないでもないけど




私はあそこには行きたくないのよ......。




って、結局この一週間




アイツの事を考えちゃってた私。




.....インパクト強すぎたんだ。




あんな綺麗な顔したヤツに声掛けられた上に




“寝てもいい”なんて言われて。




ナンパされた事はなくもないけど




最初からカラダの関係込みは初めてだったから。




「......もう、」




何度目かのため息をついた時




「あなたお待たせ。笑」




残業して来たくせに
爽やかなアヨンに肩を叩かれた。




「アヨンおつかれ。笑」


「あなたもおつかれさま。
ごめんね?予想以上に時間掛かっちゃって、」


「ううん、課長からの頼まれ事なら
仕方ないよ。笑」




ウチのイ課長はめっちゃ出来る人なんだけど




それは仕事だけじゃなくて




部下ともしっかりコミュニケーション
取ってくれるから




こっちの要望もちゃんと聞いてくれて




可能な事はすぐに反映してくれる。




.....おまけにナイスミドル。




「そうなのよ〜。課長に“悪いんだけど”、
なんて言われたら断れなくて〜。笑」


「わかるそれ。笑」




そんな課長だから、




急な仕事や無理難題も




みんな嫌な顔ひとつせず引き受ける。




「ね、どうする?ここで軽く食べる?
それとも他でしっかり食べる?笑」


「そうねぇ....」




アヨンとの待ち合わせによく使うこのカフェは




おやつ程度のものから重めの軽食まで揃ってる。




「アヨン来たばっかりだからここでいいよ。笑」


「そう?じゃあ私買って来ちゃうね?笑」


「うん。笑」




アヨンとは入社当時から気が合ったし
部署も同じだったから




今じゃすっかり仲良くなった。




お互い、上辺だけで付き合ってるつもりは
ないから




言いたい事言い合って時にはケンカもして。




だけど、次の日にはすぐ仲直りするような
さっぱりした関係だから




ずっと付き合ってられるんだと思う。





だからこそ、聞ける事は聞いてあげたい。







......あのチャラ男に会いませんように。








私にはそう願う事しか出来なかった。





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