第5話

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2018/07/30 11:00

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......昨日の、ジョングク、だっけ?




思い出したくないのに




気が付いたら思い出してる。




......あの笑顔。




だってさ、言ってる事サイテーなのに




笑顔が胡散臭くないのよ。全然。




下心なんてありません、て顔で




可愛くもあって、爽やかでもあって




......たまに色気のある




なんとも言えない笑顔。




次の日になっても覚えてるのは




気になってるからだよね、きっと。




......なんでだろ。




たしかに、綺麗な顔してるなって思ったけど




汗で張り付いたTシャツが
色っぽいなとか思ったけど




それだけだし。




私の周りにああいうタイプがいないから
珍しかっただけよね?




ていうか、会社にあんなヤツいたら
絶対引くわ。




めっちゃ引く。




ていうか昨日だって引いたわ。




声掛けられただけならまだしも




絶対あっち目的だったし。




まあ本人も言ってたしね、




“おねーさんなら寝てもいいかなって思ったのに”




って。




何人もの女の子に言ってるんだろうけど。




口説きなれてるんだろうなぁ.....。




嫌味じゃないくらい爽やかに、
自信たっぷりだった。




だけど私だって、
別に堅い訳でもなんでもないけど




ほいほい付いて行くほど軽くもないし。




ホント、もっとブチ切れてやればよかった。




......性格的に無理だけど。




いつもあとになって思う。




あの時ああしておけばよかった、って。




……こんなふうに思うなんて




私.....アイツと“ああしておけばよかった”って




何かを後悔してたりするのかな。




でも、いくらイケメンだからって




あんなチャラいのは願い下げ。




気のせいよ、気のせい。




次の日になっても覚えてるのは
かなりのイケメンだったから。




引きずってるのは




あまりにも衝撃的だったから。




......きっとそう。




「......眠い。もっかい寝よ」





ていうか、もう二度と会わないんだから
気にする事もないじゃない。







明日になったら忘れてるって。








そう思って、まだ温かいベッドに潜った。





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